第8回大会CDブロック
2回戦第5試合
百戦錬磨の破壊獣・アトラスオオカブトA
VS
密林のマタドール・ラコダールツヤクワガタ
前回大会の再戦となったこの試合。
前回は一方的な展開となり、スピードを生かす間もなくリング端に追い込まれたラコダールは、甲虫十字架刑のクリティカルヒットを受けて完敗。
最も苦手なタイプといえるアトラスとの再戦は、今回も苦戦は必至。
しかし。この試合は予想外のビッグアップセットが起きる。しかもその試合展開も目を疑う内容。こんなこともあるのか。
あっと驚くタメゴロー。
試合開始と同時に、トルネイド・アローで突進したラコダールは、まだ戦闘準備が整わない破壊獣を一気に押し込む。いったいどこにこんな力があったのか。
速いだけで非力、といったラコダールの印象を覆す怪力を発揮。
フセツを一本失っているとはいえ、いまだパワーではモー虫トップクラスの破壊獣が押し込まれていく。
さらにびっくりする事態が発生。
なんと今度はそのままスイングするようにアトラスの体を横にずらしながら一気に引っ剥がし、場外へぶん投げてしまうラコ様。
ま、マジですか・・・・・。
ラコさま、あなた、本当はこんなに強いの?
日頃の、メキシカン・レスラーのような、速くて華麗でテクニカルだが、軽いファイトスタイルが嘘のような力強いフィニッシュ。
こんなんだったら、いつも優勝戦線にからめるんじゃないの・・・・。
と、驚きと期待に胸を高鳴らせラコさまを見つめる私。
(しかし・・・。この後も時々思い出したように、デカいゴホンヅノカブトを頭越しにブン投げたりといった怪力を発揮するラコダールなのだが、たま〜にしかその裏ラコは見せないのだった。先日のアルキもそうだったが、本当は強いのなら毎回ちゃんとやってよ!!といいたくなるのだった・・・。)
仮面貴族・マスカラスが弟・ドスカラスと組んで「超獣コンビ」ハンセン&ブロディと対戦したことがあった。当時ハンセン&ブロディといえば、文字通りの「世界最強タッグ」。シングルでも世界最強のふたりが組んでいるのだ。その強さは無限大。
しかもさらに悪いことに、ハンセンもブロディもファイトスタイルはけっこうわがままである。
相手の持ち味をあまり引き出さず、コテンパンにのしてしまうスタイルだ。
突進!トルネイド・アロー!!
彼らは、聖域の住人であるマスカラス・ブラザースにもそれをやった。
彼らにしてみれば、それなりに遠慮して、ひかえめにやったつもりだったのかもしれない。
しかし、それはプライドの高い仮面貴族のアンタッチャブルな領域に十分に踏み込んでいた。
マスカラスにとって対戦相手は、彼の華麗なファイトの引き立て役でしかない。彼らがかっこ悪く見えるようなファイトはもちろん想定外、認められない。
ハンセン&ブロディはそれをやっちゃったらしい。
マスカラス、激怒。暗黙の了解を越えて激怒。ハンセン&ブロディを滅多打ち。マスカラスのまじな怒りを感じた超獣コンビは反撃しながらもあきらかに困っている様子。
それ以降、マスカラスと超獣コンビがからむカードは二度と日の目を見ることはなかった。
強いマスカラス。いや〜、マスカラスって本当に強かったのね・・・・。と当時の私も感心。
出た!!地獄のエレクトリカル・パレード!!
DEEPかなんかの総合(ガチンコ)の試合で、仮面の魔豹・カネックや、太陽仮面・ソラール、そしてドス・カラスの息子・ドス・カラスJrが戦ったことがあった。
メキシカン・プロレス「ルチャ・リブレ」は、「飛んだり跳ねたりばっかりで、強さ皆無のスタイル」「見た目は派手だが実戦では弱い」「ショーもいいとこ」とキメ付けられていた。
ところが・・・・・。完全にオヤジ化しているはずの50歳・「メヒコの帝王」カネックは元幕内力士・太刀光を馬乗り滅多打ちで殴殺。
太陽仮面・ソラールは・・・・・。「相手の光を消すのがオレのファイトスタイル」と高言し、新日の道場で並み居る先輩をボコボコにしばきあげた伝説を持つ、強い強い鈴木みのるを金的蹴り一撃でKO。
そしてドス・カラスJrはパンクラスの若手bPスターであった謙吾を「チリマ」で関節を決めたままブン投げ脱臼させて秒殺&病院送り。
いや〜、ルチャリブレって強かったのね・・・・・。
ソラールに関していえば、どうやら「ガチンコ(真剣勝負)」と「セメント(ケンカ)」の違いが分かっていなかったようだが、喧嘩なら彼が勝っていたわけで、それはそれで凄い。
彼は劇画「プロレス・スーパースター列伝・タイガーマスク編」にも登場するが、初代タイガーのライバルとして来日、来日早々、タイガーとのTVマッチでなにもしないうちに腕を脱臼させられ途中帰国。
しかも帰る途中で迷子になり、空港へ行き着けなかったという過去を持つ。
「ふがいね〜」という印象だったが、メヒコでは、対戦相手としてショッパイファイトを繰り広げた若手時代のスペル・デルフィンに控え室でおしおきを加えたり、武勇伝が数多くあったらしい。
強くて意外性があって、そしてまぬけで可愛い。まさにオレ好み。
おお、今回は1発目から余計な話がテンコ盛りだ。今日はこのへんにしておこう。
ラコさま、ルチャドールの真の恐ろしさを発揮して破壊獣を破壊!!
準々決勝進出!!
恐るべき強さ。これがラコ様の本性!?
2回戦第6試合
地獄の番犬・リノケロスフタマタクワガタ
VS
奇跡の牙・ミヤマっちグレート
1回戦、怪獣王子・ルデキングを電光の槍・ツインランサーで貫き、瞬殺したリノケロスと、魔剣士・アマミっちと激闘を繰り広げ逆転勝ちしたグレートの激突。
私は、同等の体格を持つもの同士の戦いの時に一番胸が高鳴る。どちらが勝つか分からない戦いが好きだ。
対格差がありすぎると、結果が見えてしまっているのであんまり燃えない。
地獄の番犬VS奇跡の牙、いいじゃない。見せてくれ!!それぞれが選んだ進化の道、どちらが正しかったのかを!!
威嚇合戦から始まったこの戦いは、スピードに優るリノケロスが先手を取った。
スピードならリノケロスが数段速い。
「電光の槍」ツイン・ランサーが火を噴き、グレートのボディのど真ん中を貫く!
初期のモー虫に出場していた60ミリ半ば程度の体格であったミヤマっち1号・2号は、リノケロスのツイン・ランサーで軽くひっくり返されていたが、グレートはそう簡単にはやられない。
グレートなミヤマ、それが彼の名だ。
「こいつ、剥がれねえ!!」驚く地獄の番犬の上から、奇跡の牙が襲う。
抱えられるのを嫌ったリノケロスは、ツイン・ランサーのホールドを解除し、差し手争いに出てしまう。
ツイン・ランサーが直撃!「おまえ、遅いぜ!!」
ヒラタ・オオクワは一度挟んでしまえばなかなか離さないが、その他のクワガタは「効果が薄い」となると一度ロックを解除して、挟み直そうとする。
「差し手争い」が始まったら、それはミヤマクワガタの思う壺だ。
「差し手争い」、それはダイオウを、ブケットを、ワラストンを、アマミっちを葬った奇跡の牙へのプレリュード。
激しい差し手争いが展開される。
ガッチリと交差するように、お互いのアゴが、斜めに深く差し込まれる。
出る!!私の胸は高鳴る。
やはり出たあああああああああ!!
奇跡の牙・ガルーダ・クローが大噴火。
地獄の番犬をねじり倒す。
そのまま場外へ投げ捨てる。
見事!!
グレート、準々決勝進出!
アマミっち戦に続いて、見ごたえのある試合を展開、勝利。
もはや奇跡ではない。おまえは強い!!おまえの勝利は必然なのだ!!
Cブロックの決勝で待つ相手は「仮面貴族」ラコダール。
ガルーダ・クロー!!地獄の番犬を粉砕!!
目覚めたラコ様は手強いぞ!!華麗なる対決の幕が開く!!
2回戦第7試合
野生の生傷男・カブ2号
VS
ボルネオのまだら狼・ワラストンツヤクワガタ
復讐の鐘が鳴る。
ゴオオオオ〜ン。ゴオオオ〜〜〜〜ン。
「最強」とはなにか。
その答えはないのかもしれない。
オオクワガタを完封したカブ2号はワラストンに敗れ、ワラストンはグレートに敗れ、グレートはオオクワガタに敗れる。
「国内最強」すら分からない。「ノコギリ最強」説も根強いし、モー虫未登場の本土ヒラタや離島ヒラタ、MKOCで大活躍のスジブトヒラタも強いだろう。
生傷男もこのまま引き下がるわけにはいかない。ここで勝って、とりあえず「国産最強」の座を取り戻しておかなくては。
「対外国産甲虫」という見地から見れば、間違いなく国産カブトが国内最強種であると思われる。
必殺のジェット=アッパーが強大な敵相手にも勝機を与えてくれる。
同じ種類の武器・戦法で、さらに巨大な外国産甲虫に挑んでも勝利の可能性は低い。
ただ国産カブだけが、外国産が持たない、特別で有効極まりない武器と、戦法を持っているのだ。
試合開始。
トレーニングで自信を取り戻した生傷男が、まだら狼を迎撃する。
わっさわっさと、何も考えずに向かってくるワラストンを、ダイナマイト・アッパーで跳ね上げる。
驚くワラストンだが、それで引き下がることはない。
ワラストンは武骨な大アゴを振り回し、カブ2号をとらえようとする。
そうはさせじと、小刻みなアッパーを繰り出し、制空圏を形成、カブ2号はワラストンにいいところを挟ませない。
まだら狼のデカい頭が、何度かダイナマイト・アッパーで揺らされる。
リベンジ成功か。そう思わせるシーンが続くが、大きな爪と強い足腰を持つワラストンは、揺れはするものの、リングからはがれない。
執拗さと闘志は折り紙付きだ。
それで精神的にダメージを受け、撤退することもない。
逆にカブ2号の方が音を上げる。
いったいいつになったら去ってくれるのか。そんな感じになってきたのだろうか。
生傷男のアッパーがまだら狼を揺らすが・・・。
カブ2号が下がり始める。
ワラストンは猛り狂いながら前進。
その圧力に耐えかねてカブ2号は撤退を始める。
戦闘能力は互角に近いと思われる。がっぷり四つの戦いだったが、ワラストンのマシーンのような前進に根負けした形だ。
残念!!カブ2号、まだら狼の牙城を崩せず。
なにも考えていないような、ひたすら無表情で前進、という戦いぶりは、対戦相手には不気味。
恐怖のラッセル車・ワラストン、準々決勝進出!!
2回戦第8試合
くろがねの鋼鉄獣・ダイオウヒラタクワガタ
VS
フローレンスの不沈艦・ギラファノコギリクワガタ
ダイオウヒラタクワガタ。その対ヒラタでの強さは圧倒的。体長で揃えれば、間違いなくヒラタ最強だろう。(アゴ短いし。)
ギラファノコギリクワガタ。MKOCのカーネルギラファっちの対アルケス戦、対つのウイグル獄長(コーカサス)戦を見た今となっては、その種としての強さに意義を唱える人は少ないだろう。
その二匹が激突する。
しかし、モー虫ではヒラタに対してハンデが設定してある。その例に倣って、ダイオウも小型の個体だ。
リーチは絶望的に違うが、ギラファのあの長いアゴをカンヌキにキメられれば、ダイオウにもチャンスがある。ギラファVSパラワン戦で見たように、単純な力比べになれば、ノコギリクワガタはヒラタクワガタには及ばない。
ギラファの強さは、単純な身体能力以上に、あの特異な大アゴの形状およびその使い方にある。
進化の袋小路・行き過ぎた過剰な適応の結果としての、異常な大きさ&形状(よくチリークワガタがそんな風に言われるが・・)みたいに言われてしまうこともあるギラファの大アゴだが、何度も言うように全くそんなことはないのだ。
持て余すどころか、機能しすぎて困っちゃうくらいのものだ。
MKOCのギラファの派手な勝ちっぷりを見よ!フォルコメンハイトも、この1号も見事におのれの大アゴを使いこなして、ばったばったと敵をなぎ倒すのだ。
ダイオウのドルクス殺しの破滅の牙・ハルマゲドン・バイスか?
ギラファの多彩で派手で豪快な、4大必殺技か?
ゴングが鳴る。
両者リングに登場するが、しばしのお見合いが続く。
結果的に、このお見合いが勝敗を左右することになる。
ギラファのファイティング・コンピューターに、分析の時間を与えてはいけない。
分析終了前に突進して、先制攻撃を加えなければいけない。
体勢が整う前に攻撃を受けたとき、ギラファは脆さを見せる。
しかし、このとき、ダイオウはギラファに襲い掛かるのを躊躇してしまったのだ。
分析完了。「イッキニイケバカテルカノウセイガタカイデス・・・・。ワザノセンタクハギャラクティカ・エクスプレス。ソレデカテマス。」
ギラファのエンジンに火が点る。
出た〜!!バイオレンス特急・ギャラクティカ・エキスプレス!!
ガーーーーッと出て、跳ね上げ、さらに出る。津波に飲まれるように押し流されていくダイオウ。
たまらずリングわきにエスケープするが、一度点火したギラファっちはもう止まらない。
ダイオウを見つけ出し、産卵木ごと削り取るようにつまみ上げ、場外にブン投げる。
強い。
強すぎるギラファっち。
前回大会のワラストン戦がうそのような勝ちっぷり。
ギラファっち、準々決勝進出。
そこで待つのは因縁のまだら狼・ワラストン。
リベンジなるか。
バイオレンス特急と恐怖のラッセル車が正面衝突する。
暴走特急にはねられ、弾き飛ばされるダイオウ。
生き残るのはどっちだ?