第8回大会Cブロック
1回戦第9試合
百戦錬磨の破壊獣・アトラスオオカブトA
VS
荒れ狂うカニの爪・ブケットフタマタクワガタ
実力伯仲のファイターたちが集ったCブロック。この中で「最強」であると思われるのが「破壊獣」アトラスAだ。
第2回大会から継続参戦し、幾度となく上位進出を果たし、最強虫・インターメディアを二度にわたって退けるなど、実績は十分。
その実力から、最激戦ブロックにエントリーされ続けたが、今回はインターやホーペイとは反対側のブロックに登場。
ここは決勝まで進み、悲願の初優勝を狙いたいところだ。
ブケットも、前回大会はマンディブラリスを地獄のかに道楽・キャンサー・ヘブンドライブで撃破、前々大会はセレちゃんと、その前はミヤマっちグレートと好勝負を演じており、侮れない力を持っている。ひんぱんに塩試合を繰り返す虫もいる中で、さすがフタマタクワガタ、といえる積極性が光る。
好選手同士の一戦にふさわしく、両者気合十分で登場。
体をゆすり、怒りのダンスを踊る破壊獣を恐れることなく、ブケットもカニの爪を振りかざし、威嚇する。
頭角を相手の体の下にもぐりこませようと前進してくるアトラスをブケットが必殺のキャンサー・クローで迎撃。
カニの爪が、前胸部にクリティカルヒット。ギリギリと締め上げにかかるブケット。
はさまれながらも破壊獣は反撃に出る。
頭角でブケットの胴体を突き上げ、体勢を崩させようとする。
国産カブトのような鋭さ、速さはないが、パワーは絶大。
力比べのようになり、お互いの身体が震える。
パワーなら破壊獣が上だ。
先に体勢が崩れだしたのがブケットのほうだ。
斜めに浮き上がるように身体がずれていく。
がっちりとキャンサー・クローが決まるが・・・・。
破壊獣のパワーに、うきあがってしまうブケット。 |
破壊獣のジェット・ペルシダーが爆発 |
ブケットも最後まで勝負を捨てないが、破壊獣の突き上げに身体が半回転、ついには全ての脚がリングからはがれてしまう。
破壊獣のフタマタ殺しのカウンター技・ジェット・ペルシダーが爆発。
破壊獣、二回戦進出。
1回戦第10試合
熱帯雨林の美獣・ラコダールツヤクワガタ
VS
赤い甲虫番長・セアカフタマタクワガタ
モー虫最速・密林のマタドール・ラコさまが登場。華麗。そのファイトスタイルは泥臭さゼロ。
速さで相手を翻弄、すばやい動きで出入りを繰り返し、速いが軽い攻撃を、稲妻のように繰り出す。まるでフェンシングのようだ。
速攻で一気に畳み掛ける電撃の剣・エレクトリック・サンダー、サイドに回りこんで突進するサイド・ワインダー。テクニカルな技も多種には見られない個性的なものだ。
相手が弱ければ一気に片をつけ、相手が強ければ無理をせず早めに撤退、相手の技にハマって惨敗といったかっこ悪い事態は回避するスタイリストぶり。ナルシスな貴公子のイメージだ。
対する甲虫番長・初代セアカっちはそのあだ名の通り、もう最高に泥臭く、男臭く、アツい戦いを身上とするブル・ファイター。
撤退御無用・真っ向殴り合いの男勝負・小細工なしでまともに突っ込んで、力尽きるまで我慢比べの挟み合い。
作戦はなし。上体を起こして大きくアゴを広げ、まっすぐ進んでいくのみ。コンタクトしたらどこでもいいから力いっぱい挟むだけ。
「オラー!!」「死ねー!!」「まだまいらんか!!」押されていても撤退はしない。パラワン戦など、感動的ですらあった。
アトラスにも正面から突っ込んでいって見事に相手のツノのスィートスポットにはまり込み、轟沈。
アツすぎて逆にさわやかですらある。
金モールの美しい闘牛士の衣装、もしくは「ベルサイユのばら」チックなひらひら衣装が似合う貴公子と、ボロボロでほこりだらけのガクランしか似合わない時代遅れのバンカラ番長の対決だ。
少女漫画だと貴公子が汗もかかずに勝つ。少年漫画だと、ボロボロにやられながらも、最後は泥臭いほうが逆転で勝つ。
実力・実績は伯仲、体格も互角、カードとしても面白い。さて、どっちが勝つか。予測不能だ。
試合開始。
ラコさまは例によって速い動きで動き回り始める。
かといって撤退するわけではない。
サイド攻撃を狙っているのだ。
番長も、ラコダールの歩き回る気配を感じて怒り狂いながら動き始める。
ラコダールは、正面から組み合おうとせず、出入りを繰り返して番長をじらす。
そしてリングの脇から大きく迂回し、セアカっちのわき腹へ突進!!
ラコさまの必殺・サイドワインダー!!
一瞬ひるんだ番長だが、すぐ向き直り、反撃開始。
ラコさまも応戦する。ようやく戦いが始まった。
フェンシングのようにアゴを打ち付けあい、お互いのアゴ先を挟み付け合うが、お互い決定打が出ない。
セアカっちが一度、ラコさまのアゴ先をスクランブル・バイスで捕まえ、ラコさまの腰を浮かせるが、その程度ではラコさまも参らない。
ラコさまは軽い攻撃を素早く何発も叩き込む感じ、セアカっちは重い攻撃をゆっくりとアゴを上下させながら繰り出す感じ。
あれ?なんとびっくり、番長が戦意喪失。
あきらめたように撤退開始。
それはキャラが逆だろう!!どうした甲虫番長・・・・。
第2回大会から参戦の甲虫番長。
甲虫番長に落日のときがせまっていたことに、この時点での私は気付かなかった。ワイルド個体の番長は羽化日不明。
パラワン戦での番長は、もうそこにはいなかったのだ。
ラコさま、華麗に勝利。
速さとテクニック、インサイドワークで戦うラコさまだが、2回戦の破壊獣とのリベンジマッチで、私はラコさまのもう一つの顔を見る。
さて、破壊獣VS仮面貴族の第2ラウンド、リベンジの鐘は響いたか?
ラコさまのサイドワインダーを迎撃する番長だが・・・・。
1回戦第11試合
スマトラの怪獣王子・ルデキングツヤクワガタ
VS
地獄の番犬・リノケロスフタマタクワガタ
スピードスター・リノケロスの登場だ。機敏極まりない動き、折れないファイティング・スピリットは好感度MAX。
そのスピードで、逃げのプロ・怪獣王子を捕獲することができるか。
(見所がそれしかないってのはさみしいのう・・・・・。今年は強いルデを招聘したいのう・・・。)
速い!速い!素早い!リングの上に登場したリノケロスは触覚をピクピクさせながら機敏に旋回、あたりをサーチする。
ルデキングが登場するとすぐに気付き、襲い掛かる。
体勢が整わないまま急襲を受けたルデキングは、全く対応できず、ツインランサーの餌食になり、場外転落。
速い!速い!
怪獣王子を瞬殺、スピードスターが電撃勝利で二回戦進出。
速い!!逃げる暇もなし!
1回戦第12試合
黒鎧の魔剣士・アマミノコギリクワガタ
VS
奇跡の牙・ミヤマっちグレート
これも実力伯仲の好カードだ。大型国産対決。7センチ級のノコとミヤマの対決の行方は・・・・。
例によってファーストコンタクトが勝敗の行方を大きく左右するだろう。
前回大会、大活躍を見せたグレートは、なんか貫禄がついたような感じで、戦いの気配にも落ち着き払っているように見える。
魔剣士はいつものように、ゆっくりと、ユラリユラリと立ち上がる。かっこいい!!
絵になる両者の対決。
やはり国産はいい。特にノコギリとミヤマの造形は美の極み。芸術的な美しさ。繊細であり、優美であり、力強くもある。
どっちもがんばれ!!
私の期待に応えた両雄は、素晴らしいパフォーマンスを発揮。モー虫で数多く行なわれたノコVSミヤマだが、この戦いはノコVSミヤマのベストバウトとなった。
攻めのアマミ、受けのグレート。
外国産相手では実力を発揮しきれないアマミっちだが、待ってくれるミヤマが相手だと真価を発揮できるようだ。
しばらくの威嚇合戦が終わり、魔剣士が動く。
さあ、かかってきな!! |
グランド=クロスが炸裂!!それでもグレートは前進!! |
激しい差し手争いに勝ったグレートの、奇跡の牙が爆発!! |
グレート、逆転勝利!! |
魔剣士の妖刀がグレートを捕える。必殺のグランド=クロス!!
頭を左右に振り、締め上げるアマミっち。かっこいい!!
絶体絶命のグレートだが、それでも前進。お互いの身体が起きて、「人」の字状に立ち上がる形になる。
これを嫌った魔剣士は、もっといい挟み所を探そうと考えたか、せっかく決まったグランド=クロスを解除してしまう。
激しい差し手争いが始まった。これぞノコVSミヤマの真骨頂。
今度は、高い姿勢からアゴを振り下ろしたグレートの、奇跡の牙・ガルーダ・クローが魔剣士を捕える。
そのまま引き剥がし、場外へ投げ捨てるグレート。勝負あり。
逆転勝ちでグレート、二回戦進出。
いい試合だった。