荷顎庸砕研究所
かがくようさいけんきゅうじょ
第一研究室
甲歯力研究所
掲示板からホームページへの転載をいつも博士に任せきりで、いったい第何番目の研究室かも解らなくなっている所長です。
そんなことで過去の記録を振り返ってみると、前々回はもう去年の夏にまで遡ってしまうでは有りませんか。
こんな働きでは研究所が廃止させられてしまうかも・・
まあ、そうなっても荷顎庸砕研究所(科学要塞研究所)とでも看板だけ付け替えて、再びぬるい仕事を繰り返すわけですが。
などと考えていたところに先の大震災!
研究所廃止どころか経営母体(モー虫)の存続危機か!こんな思いもよらない形で終わりが来ようとは!と慌てましたが、博士のところには大きな被害は無かったようで何よりです。
(不運にも飼育ケース崩落の犠牲になったアスタコに合掌)
まだ研究・報告の場は残されているようですね。
では、まず最近のものから
セアカフタマタクワガタ 81mm (顎長21mm、内歯位置も21mm)
内歯力(=顎先力)実測値2000g トルク4.2kg・cm
ミヤマクワガタ67mm 測定位置:先端内歯(支点から17mm)
実測値1250g トルク2.1kg・cm
ノコギリクワガタ67mm 測定位置:支点から18mm
実測値1200g トルク2.16kg・cm
(トルクとは、顎の長さや測定位置による力の損得を無くすために、顎の支点から1cm先の位置で挟んだ場合の力に換算した値です。)
今回の一番手はここ最近モー虫で再注目されているセアカです。
野外品ですが状態が良かったようで、買った直後はズッシリと持ち重みがありました。
トルク4.2kg・cmは家のオオクワ75mmの数値を上回っていますし、顎先力実測2kgというのもかなり強いです。
クワガタ相撲大会でセアカを擁して好成績を収めているタカハシさんが、強いセアカは相手にブスブスと穴を開けると言われていたことにも頷けます。
そしてこの時期恒例のミヤマとノコです。
去年までの測定ではノコは同体格のミヤマには勝てない印象だったのですが、今回のノコは強かったです。
これまで測定した(アマミ以外の)ノコと違って、今回の物はブリード個体で状態が良かったのかもしれません。
実は上翅が皺くちゃで気が進まなかったのですが、他に大きい個体が売っていなくて「大丈夫かこれ」と半信半疑で買いました。(別のも買い足そうかなどと思ったり、全然期待してなくて正直すまんかった)
番外編
アカベンケイガニ 甲幅26mm
左手ハサミ幅13mm 測定位置:ハサミの支点から11mmの突起部
実測値1650g トルク1.8kg・cm
右手ハサミ幅10mm 測定位置:ハサミの支点から8mm
実測値600g トルク0.48kg・cm
(ブルー)サワガニ 甲幅23mm
右手ハサミ幅10mm 測定位置:ハサミの支点から7mm
実測値750g トルク0.53kg・cm
左手:小さすぎて測定不能
ジローさんのカニ購入報告を聞き、ひょっとしたらホームセンターにも出回っているかもと出かけたところ本当に売っていました。
小さいので顎力計を挟めるかどうかが問題でしたが、なんとか数値が出ました。(さんざん挟まれました)
以前から甲殻類のハサミは同サイズの頭を持つクワガタよりも強いと考えていました。
大げさに説明するほどのことでも無いのですが、模式図にしてみます(汚い絵)。
左右の顎が動かせるクワガタは右から1kg、左からも1kgの力で挟んで1kgの力を記録します。
両側から1kgずつで挟んだら合計した2kgの顎力になるのではないかと思われるかもしれませんが、例えば右から2kg左から1kgと左右に差をつけて挟んだ場合を考えてみると解り易いです。
挟む力は合計した3kgになるでしょうか?
いくら右から2kgで挟んでも、左側がその力を受け止めきれないので、挟む力は左側の最大限の力1kgにしかなりません。右からの2kgの力を左からも2kgで押し返してはじめて挟む力は2kgに上がるのです。
このように両側に支点のあるクワガタの顎では左右から同等の力で挟んで片側の力と同じだけの数値を出しています。
これに対してカニのハサミでは、動かない側のツメは破壊されるまでどれだけでも力を受け止めます。それにより、動く側のツメが1kgで挟めば1kg、2kgならそのまま2kgの力を記録することが出来ます。
こういう理由から、大雑把に考えれば同じ強さで挟むためにはクワガタの顎はカニのハサミよりも2倍の筋肉が必要ではないかと思われ、そのため甲殻類などのハサミはクワガタの頭よりも小さな容積で同等の力を出せるはずと考えます。
同じ理由でカブトも強い力で挟むことが出来ていると思います。
比較用に小さめのクワガタのデータを載せてみました。
ハスタートノコギリクワガタ58mm 頭幅19mm
測定位置:先端内歯(顎の支点から14mm)
実測値1200g トルク1.7kg・cm
スジブトヒラタ51mm 頭幅16mm 顎長15mm
顎先実測値550g トルク0.83kg・cm
コクワガタ52mm 頭幅15mm 顎長17mm
顎先実測値400g トルク0.68kg・cm
コクワガタ39mm 頭幅11mm 顎長13mm
顎先実測値200g トルク0.26kg・cm
オオクワガタ64mm 頭幅22mm 顎長20mm
顎先実測値1150g トルク2.3kg・cm
頭幅19mmのハスタートノコギリの顎力がアカベンケイガニの大きい側のハサミ(幅13mm)と同じぐらいのトルクでした。
アカベンケイガニとサワガニの幅10mmのハサミのトルクは近い値で、それは同じぐらいの頭幅(11mm)のコクワガタよりははるかに大きく、頭幅15mmのコクワガタのトルクよりは小さいものでした。
さすがに頭幅22mmのオオクワガタともなるとこれらのどのハサミよりもはるかに大きなトルク値になります。
このような力関係ですが、カニよりもクワガタに挟まれたほうが痛く感じるというのは、某掲示板の最強蟲スレでも言われていましたが、点で挟むクワガタの顎と、線もしくは面ではさむカニのハサミの形状の違いによる可能性が高そうですね。
サワガニの小さすぎて計測不能側のハサミで挟まれましたが、弱い力のはずなのに先が鋭いので大きいハサミよりも痛かったです。
しかし、今回測定できたのは小さなカニ2匹だけですし、ハサミが小さすぎて正しく測定できているかも定かではありません。
おまけにジローさんの動画にもあったように、ブクブクと泡を吹き出すと戦意喪失のKO状態でもう測れませんでした。
大小のハサミでトルクがツメ幅比の3乗倍になっていないのも気になりますし、カニのハサミはクワガタの頭よりも分厚いように見えるので幅だけで両者を比較するのも公平では無いかもしれません。
ヤシガニやオカガニぐらいになると凄い数値が出そうですが、測った後(用が済んだ後)にあんな凄いのを飼い続ける勇気がありません。
子供をそそのかしてザリガニでも採ってきて、測ったらすぐに逃がそうかと企んでいます。