モー虫ファイト25

夏休み特集2

「ミヤマクワガタ・愛を求める虫」(笑)

国産ミヤマクワガタ特集

第一部:第一回モー虫ライト級GP

第二部:ミヤマっちダークネス・飛龍十番勝負

 

 

 

 

 

 

 3月初旬。寒風が吹きすさび、雪が残る山中。水晶が採れる山の、地下2m。

 朽ち木もない場所から彼は現れた。

 

 一体そこから、どうやって地上に出ようというのだろうか。

 一体お前は何を食べていたのか。どこか遠くに埋もれる朽ち木から、はるばる移動してきたのか。他の地虫をその牙の餌食にしつつ、大きくなったのか。

 山の王・青年Hが掘り出した、不思議な土まみれの虫。

 ミヤマっちダークネス。それは現代のおとぎ話であった。

 

 水晶採りの翁が掘り出した、凶悪なかぐや姫。

 今宵は、運命に導かれ、我が家にやってきた60ミリ半ばのフジミヤマ・ダークネスの物語をしよう。

 

 

 

 

 テーマは「国産ミヤマクワガタの実力とは?」だ。

 国産カブトムシの検証の次はこれだ!!夏休み企画第二弾として、今回は「ミヤマっちダークネス・飛龍十番勝負」をお送りする。

 

 第一期に活躍した選手であるミヤマっちグレートの記録も交えながら、その真の姿を検証していきたいと思う。

 

 

 

 まずは、7月半ばに行われた第一回モー虫ライト級GPの模様からお伝えしたい。

 参加選手は、ダールマンツヤクワガタ、ミヤマっちダークネス、ルデキングリベンジャー、ティティウスシロカブト、アルキデスダブルチョッパー、エウリケファロスヒラタクワガタ、ギデオンヒメカブト、メリーメンガタクワガタ、アスタコイデスノコギリクワガタ、アロエウスミツノカブト、ラフェルトノコギリクワガタ、ミヤマっちブラッキー、ミヤマっちジャイロゲスの13選手。

 

 

 戦前の予想で優勝候補と考えられていたのは、

 

    アトラスやリノケロス、オオクワガタといったはるかにでかい相手にも圧勝する力を持つ、狂犬・ダールマン。

    それまでの無差別級大会やSPマッチで好成績を残し、時に驚くべき金星を挙げてきた、ミヤマっちダークネス。

    かぶ八郎に土を付け、本格化後は連戦連勝の復讐の牙・ルデキングリベンジャー。

 

この3選手の実力は、他の選手より上位であると私は考えていた。

それに続くのはティティウス、アスタコイデス、ブラッキーか。

メリーちゃんも本格化すれば強いことが期待できそうだが、今はまだ勝負に対して淡泊だ。

 

第1回モー虫ライト級GPの模様

http://www.bannch.com:88/servlet/BBSres/29259/29460967/12

 

 

1回戦

 

 

ラフェルトが引き気味のジャイロゲスに判定勝ち。

この大会は早朝に行ったため、すでに休息モードに入っていたジャイロゲスに覇気無く、ゆっくりと前進してくるラフェルトに押され気味で試合が展開。最後は遁走。

 

 

アロエウスがルデキングに番狂わせの勝利。

最近ではホーペイにしか負けたシーンを見ていなかったので、ルデの敗走にはびっくり。

アロエウスはしがみつく力だけは強烈なので、一瞬挟んでも、微動だにしない相手を「ホーペイ並の強い相手」と誤認したのか。

「アロエウスは戦うのか?」という疑問を持つ方もいるかとは思うが、「戦います」と答えておこう。斜めに体を傾けて、グリグリと体を寄せて押しつけるのが彼の攻撃だ。

歯ブラシで押すだけで、その反応が返ってくるので、誰でもそのパワーを実感できる。

よく見ると、ここでも一生懸命それをやっていることに気付く。

 

 

ダールマンはブラッキーを粉砕。ピーク時と比べれば、その力は落ちているとは思うが、ミドル級でも十分に通用する実力を存分に発揮。

 

 

ティティウスはメリーメンガタの先制攻撃を受けてしまうが、心のスタミナがまだ十分ではないメリーちゃんは「一発で決められない」と見るやアッサリ撤退。

 

 

ダークネスはボンヤリ前進して危険ゾーンに入り込み、殺気を感じて動きが止まったギデオンを一撃葬。

 

 

2回戦

 

ダークネスはエウリケファロスに快勝。アルキデスと比べて好戦的なエウリケファロスだが、ここはいいところ無く敗退。

 

 

アスタコイデスとティティウスは、いつ果てるともない長い長い戦いを繰り広げ、最終的にはアスタコイデスがグレープバインホールドでティティちゃんを空中葬。

しかし、ティティウスはかわいいな〜。

途中で一回、アスタコのサイドからのグレープバインホールドで大ピンチを迎えるが、着地後に立ち上がり、パンチで反撃。くまさんみたいに直立してパンチを連打する姿は、猛烈な可愛さ。

SPマッチでも、ライト級相手なら持ち味を出して、面白い戦いを見せてくれる。

 

 

ダールマンはアルキデスダブルチョッパーを圧倒。戦意薄いダブルチョッパーはいいところなし。

 

 

準決勝

 

ダールマンとアスタコイデスの戦いは、終始有利に戦いを進めたダールマンが、最後はリング隅に追い込んで圧勝。

しかし、アスタコイデスのファイティングスピリットは評価できる。

国産よりイケてるかも・・・。

余談だが、アスタコイデスを変換すると、「明日タコ委です」となる。

「タコ委」は「タコ委員会」の略だろう。ああそうか、あしたタコ委員会あるのか。みたいな、ほのぼのした感じに包まれる。

 

 

ここで私はミスを犯す。本来なら、2回戦はアロエウスとラフェルトの対戦となるところを、間違ってダークネスと両者を対戦させてしまう。

 

ダークネスは、怪力のアロエウスを簡単に引きはがしてアッサリとKO。

「ハッ」と間違いに気付いたが、時すでに遅し。

アロエウスはダークネス戦で戦意喪失してしまい、ラフェルト戦が無理に。

 

仕方がないのでラフェルトVSダークネスを行う。

ジャイアント馬場並のスローな動きのラフェルトをも、ダークネスは簡単に引きはがしてぶん投げる。

(後日、ラフェルトVSアロエウスをあらためて行ったが、ラフェルトがスローな動きでアロエウスの小さな頭をとらえ、絞りあげることで勝利。お〜い、アロちゃん、なんでアレをかわせないの?と不思議に思う。ぬるすぎる展開だったので今回UPは見送り。)

 

ダークネス、マイナー種相手とはいえ、書くことがないほどの強さだ。

 

 

決勝戦

 

ダールマンとダークネス。優勝候補同士の決勝戦となった。

 

予想に反して、最初からガッチリ組み合ってしまい、長時間に渡り動きが少ない展開に。

しかしながら、お互いゆずらぬ互角の勝負を展開。

流れの中で、勢いに乗って一気にたたみかける戦法を得意とするダールマン。実力伯仲の両者であるが、動きが止まってしまったことで、流れはダークネスに傾く。

 

最後はダークネスがダールマンを場外葬。

 

見事ライト級初代王者の座を射止めた。

 

 

 

 

他のクワガタと比べても軽量なミヤマクワガタは、ライト級GPともなればさらに力を発揮できる。今回の結果は「まぐれ」チックなイメージはなく、同程度の体格のクワガタ・カブト相手なら、実力上位の虫であると言えるかもしれない。

 

 

次に「ダークネス十番勝負」をUPする。

 

ちなみに、この試合は、「かぶえもん十番勝負」や「かぶ八郎十番勝負」のように、今回の企画のために短期間で集中して行ったものではなく、ダークネスの今までの記録から寄せ集めたものである。

 

 

第一戦 VS ノートルダムの鐘撞き男・エウリケファロスヒラタクワガタ

 

第二戦 VS 密林のマタドール・ラコダールツヤクワガタ

 

第三戦 VS 復讐の怪獣王子・ルデキングリベンジャー

 

第四戦 VS イエローサブマリン・メリーメンガタクワガタ

 

第五戦 VS 完璧の万能殺虫兵器・ギラファっちフォルコメンハイト

 

第六戦 VS まぼろしの金色夜叉・ローゼンベルグオウゴンオニクワガタ

 

第七戦 VS 暗黒大陸の熱い風・タランドゥス

 

第八戦 VS 紅の火星探索機・アスタコイデスノコギリクワガタ

 

第九戦 VS ソロックの破壊天使・アルキデスダブルチョッパー

 

第十戦 VS 黄金仮面・スペクタビリスツヤクワガタ

 

第十一戦 VS ザンギェールの鷹・スチーブンスツヤクワガタ

 

第十二戦 VS 樹液場の天皇陛下・マンディブラリスフタマタクワガタ

 

第十三戦 VS 無敵の鋼鉄参謀・つの五郎(アトラスオオカブト)

 

第十四戦 VS 限界知らずの地獄の番犬・リノケロスフタマタクワガタ

  容量が大きくて保存館にUPできなかったので、VSリノケロスのみ、期間限定でここで公開。動画:ダークネスVSリノケロス UPNEW!

 

第十五戦 VS 白亜の鉄騎兵・ティティウスシロカブト

 

第十六戦 VS 戦う黒いダイヤモンド・国産オオクワガタ

 

第十七戦 VS 樹液場の天皇陛下・マンディブラリスフタマタクワガタ(再戦)

 

第十八戦 VS 黒い暗殺者・ミヤマっちブラッキー

 

 

おお!!なんと十番勝負なのに18番もあるのはこれいかに。

この十番勝負の結果がどうであったかは、今回UPしない。

 

 

カブトムシ十番勝負では見なくてはならない動画の数が多すぎて、一気に見るのが大変だったことと思う。

今回のダークネス十番勝負は、夏休み企画として、夏休みの間少しずつUPしていく予定。

できれば一日1本を目標にUPしていきたいと思う。

 

http://www.bannch.com:88/servlet/BBSres/29259/29475694

 

 

全試合のUPが終わった時点で、全体の総括を追加しようと思っている。

 

 

果たしてミヤマクワガタの実力はどんなものか。

ダークネスの戦いを通して、検証してみよう。

この18番勝負、ダークネスは何勝何敗で終えるか、予想してみるのも楽しいかも。

 

 

 

 

今回のラインナップでは、ドルクスや大型カブトとの対戦が少ない。

補完する意味で、モー虫第一期のミヤマクワガタたちを代表して、当時のミヤマ勢の中で最強の力を誇った「奇跡の牙」ミヤマっちグレートの戦績をここに記しておく。

 

 

ミヤマっちグレート戦績

 

第四回大会 1回戦 VS ルデキング  勝ち

 

        2回戦 VS ギラファっち  負け

 

第五回大会 1回戦 VS ダイオウ  勝ち

         

        2回戦 VS ブケット  勝ち

 

        準々決勝 VS  ギラファっち  負け (ベスト8進出)

 

第六回大会 1回戦 VS  ギラファ中歯  勝ち

 

        2回戦 VS  セレちゃん  負け

 

第七回大会 1回戦 VS  じいちゃんカブ1号  勝ち

 

        2回戦 VS  ブケット  勝ち

 

        準々決勝 VS  ワラストン  勝ち

 

        準決勝 VS  オオクワガタ  負け (ベスト4進出)

 

第八回大会 1回戦 VS  アマミっち  勝ち

 

        2回戦 VS  リノケロス  勝ち

 

        準々決勝 VS  ラコダール  勝ち

 

        準決勝 VS  ギラファっち  負け (ベスト4進出)

 

 

通算 15戦 10勝 5敗 

  (5敗の内容はギラファに3敗、セレちゃん、オオクワに1敗。パワーファイターやドルクスには弱い。

一方、一旦斜め差しの体勢になれば、勝つ確率が飛躍的に上がる。

また、体格に著しい違いがないケースでは逆転勝ちを連発、強さを見せた。)

 

 

 

 

 

最新の虫王本である、「カブト・クワガタ最強バトル百科」で、ミヤマクワガタの強さの総合評価は、100点満点で30点。

ひ、低い・・・・。

登場する全甲虫中、ほぼ最低に近い評価だ。

それより低い点数の虫は、あのケンタウルスオオカブトの29点と、ノコギリタテヅノカブトの28点のみ。

ニジイロクワガタ、メタリフェリルホソアカクワガタ、ティティウスやグラントシロカブト、ディディエールシカクワガタらの方が遙かに高い評価である。

 

私に言わせれば、ミヤマクワガタの戦闘力は、決して低くない。

標準サイズのミヤマのふがいなさが念頭にあるのだと思うが、大型個体の底力は侮りがたいものがある。

 

虫王に出場する外国産虫の多くは、その種のギネスに迫らんという大型個体揃いである。

逆に、国産ミヤマクワガタはそれほど大きな個体ではない。まあ、モー虫と逆の条件である。

国産ミヤマクワガタもギネス級の個体、せめて70ミリ以上の個体であればその評価も違うものになるだろう。(ドルクスや一線級の大型甲虫には全く及ばないだろうが、二線級以下の、あまり巨大にはならない虫には十分に肉薄できるだろう。)

 

 

「ムシキング」では逆に、過大評価とも思える140/200という評価だが、私の感覚ではこちらの方が実態に近い気がするのだがどうだろう。アトラスには全く及ばないが、120クラスの虫よりは明らかに強い、と思える。

一旦斜め差しでアゴが入ってしまえば、「強い」としかいいようがないパフォーマンスを見せるのだ。

ほぼ同等のサイズになれば、その強さは明らかで、それは上記のミヤマっちグレートの戦績が証明している。

 

 

グレートの奮戦を、「成犬に幼ライオンを倒させる」戦いとする意見もあるようだ。

まあ、ひとそれぞれに感じ方はいろいろだろう。

 

しかし、同等の体長の成犬と幼ライオンでは、圧倒的に幼ライオンが有利である。狼ですらなくなってしまった「犬」と「殺戮のプロ」ライオンでは、持って生まれたその体の構造が全く違うのだ。

 

ライオンの牙の鋭さ、噛む力と、犬のそれでは比べものにならない。たとえそれがマスチフ犬やドーベルマンでもだ。

 

肉食獣の強さのバロメーターは頭骨・アゴの大きさにある。ライオンや虎が百獣の王なのは、その圧倒的な頭の大きさ、アゴの力による所が大きい。その物理的資質の違いは、乗り越えられない違いなのだ。

 

付けいる隙があるならば、まだ十分に戦い方を学んでいない幼ライオンが戦意喪失するケースくらいのものだ。

 

犬が勝つケースは他にもある。犬が、ライオンよりはるかに大きい、という場合だ。

 

はたして、モー虫ではどうだろうか。

モー虫でグレートと対戦した外国産虫のすべては、グレートより体長、もしくは体幅で勝っている。最も貧弱な体格であった中歯ギラファですら、体長はグレートより上なのだ。

また、彼らは戦い方を知らない幼虫ではない。大型個体と同じ、十分に戦い方を知っている成虫なのだ。

そこで「犬」が「自分と同じ大きさのライオン」に勝てば、それは十分に「偉い!!」とほめてあげられるのではないか。

同等サイズなら「強い」ということは、その戦う甲虫としての設計、パッケージが優れている、ということであるのだ。

 

 

 

 

かぐや姫・ダークネスにふさわしい、変な感じの話(おとぎ話?)がある。

最後に紹介してこの特集を終わりたい。

 

 

先週末、旅行に出かける前日、ミヤマっちダークネスは旅立った。

出勤前の時点で、もうそんな予感はあった。

 

帰宅すると、ダークネスは仰向けになっていた。

 

手を伸ばすと、私の指を軽く挟んだ。

 

「だ、ダークネス!!ダークネス!!な、なんでエースのお前が!!うわー!!」

助け起こす。もうダメっぽい。

 

私の声を聞いた下の娘(4歳)がキリフキを持ってやってくる。

手当&看病開始だ。

 

「しっかり!!しっかり!!」

「死んだの?死んだの?なんで虫さんは死ぬの?」

「死んだら会えなくなるの?」などと言いながらダークネスに水を掛ける。

 

「治った!!」と言うから見てみると、止まり木に正しい形でダークネスが乗せられている。

・・・治ってねえって・・・。

 

 

 

 その時、ダークネスはダラーンと関節が伸びて、完全に死んでいた。

 何時間も前に死んだかのように。

 

 この1分間の間に、いや、最後に私の指を噛んだ直後に息絶えたのだろう。

 

 3月初旬に山からやってきた奇跡のかぐや姫は、最初はあまり期待されていなかった。

 去年の60ミリ半ばのミヤマクワガタたちが芳しい戦績を残せなかったことから、「頑張って欲しい」と思いつつも、大型化が進むモー虫新シーズンで活躍することは難しいだろうと思ったのだ。(現在は逆に小型化が進んでいますが・・・笑)

 

 しかし、ダークネスは予想外に強かった。

 当時の鈞さんの予言「ダークネスは活躍して、長らく工事中のコンテンツ・ミヤマっち十番勝負の主役になる」と言っていたことが現実に。

 鈞さんすごい・・・。超能力者?

 

 投げ技を得意とするダークネス。一説には「投げ技という概念はない」と言われていたミヤマクワガタだが、ダークネスは「ミヤマは投げ技も得意」ということを証明する。

 

 

グレートやマリポーサにそうしたように、私はダークネスをほめた。

ともに戦った日々は思いで深いものだった。

 

馬鹿みたいにデカい相手には勝てなかったが、お前はよく戦ってくれた。

お前はチャンピオンのまま、我が家を去っていく。

 

ダークネスよ。お前は私が帰ってくるのを待っていたのか?

 

最後に私と握手を交わし、それを確認するかのようにして、お前は死んでいった。

 

 

 

ありがとう、凶悪なかぐや姫。

 

私はダークネスに手を合わせる。

さようなら。

お前のことも本当に大好きだったぞ。

 

 

天に昇る船はとっくに到着していただろう。

「もうすぐ博士が帰ってくるはずだから、もうちょっと待ってちょうだい。」

そんなことを話すダークネスを想像する。

あの姿だ。死んだ直後ならあんなにダラーンとならない。

最後に握手をしたとき、肉体はとっくに死んでいたように思えてならない。

 

凶悪なかぐや姫は、本当のかぐや姫のように、育ての親にちゃんとあいさつをしてから月に帰って行ったのだ。

 

 

 

 

この出会いを私にくれた、青年H様にも心より感謝。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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