子供おやじ教授の

 

ドンキエールコクワガタ

バトル・リポート

 

 あのまぼろしのセレブ虫・赤い戦闘貴族(by万さん)・ドンキエールコクワガタ(しかも73ミリ!!)が、ついにバトルリポートに登場!!文句なしに貴重!!間違いなく世界初!!

 ドンキエールのすべてがここにある!コクワでありながら73ミリ!価格はウン万円!!

 そのドンキエールがバトルに出陣!!迎え撃つのはマンディブラリス(67ミリ)・アトラスオオカブト(80ミリ)・マキシムスマルバネ(62ミリ)。

 美しい赤い背中が鮮血に染まる。甲虫版・歌劇「ペール・ギュント」(by均さん)、ドンキエール半生記、戦いと愛と笑いと、そしてドラマと。胸を打つ甲虫ドキュメンタリーがここに登場!

 モー虫の頭脳・こどもおやじ教授の渾身のレポート!

                                                      企画・執筆:子供おやじ教授

 

 

ドンキエールコクワガタ編
こいつだけはバトルさせることはないと買ったクワガタである。

深いワインレッドの上翅、73mmともなると顎も内歯から先が軽く下に湾曲した後スラリと伸びて、なんとも言えぬ雰囲気がある。
都会出張の折に、純粋に観賞とブリード挑戦のために奮発して手に入れた。

帰宅後さっそくメスと同居させてその夜、今頃は既に愛のいとなみ中だろうとそっと覗くと、
「ギョエェェー! メス締め上げられとるやん!」
DVはいかんよとあわてて引き離し、後日再び試みるも、同じ結果に私は切れた。
「縁あって我が家へ来た貴様も所詮はこちら側の虫だったということか、ならばその場を与えてやろう、存分に暴れるが良い!」

 

 

 

 

ドンキエールコクワ73mmVSマンディ67mm
せっかくバトルさせるなら勝癖もつけて強くしたいと考え、初戦の相手は我が家で最弱のちびマンディだ。
先制攻撃するマンディに対し、ドンキエールも挟み返して応戦する。
しばらく互いに斜めに顎を入れて挟み合った後、マンディは半ば自爆的に土俵から落ちた。
(かませ犬としては)最高のパフォーマンスだ。
私は気を良くして、「グッジョブ、もう一度たのむよ。」と再びマンディを土俵に上げたのだが、互いに挟み合ったまま今度はマンディがドンキエールを押し出してしまった。

ドンキは逃げるわけではないが、どうも前へ向かう姿勢が足りないようだ。
玩具でトレーニングしてもこれは改善されなかった。
獣蔵博士のアドバイスもあり、凶暴化のためにコクワ2匹とタコ飼いしてみることにした。
ドンキは自分の半分程の体長のコクワに対し、挟む・投げる・吹っ飛ばすと暴力の限りを尽くし、二日ほどでコクワ達は怖がって餌皿の下から出てこなくなったので再び試合を行った。

 

 

ドンキエールVSアトラスオオカブト80mm
ちびマンディを使おうと思ったが、この時マンディはさらに弱化して土俵から転がり落ちるばかりだったので、今度の相手はドンキが傷つけられる可能性の少ないアトラスだ。
スパーリング相手にも最適で、招聘当初やる気のなかったインターメディアを目覚めさせたのはアトラスの功績である。
頭角を下げ、先制攻撃で押し込むアトラス、それをドンキエールががっちりと挟んで押し返す。頭を挟まれたアトラスは嫌がって振りほどこうと下がるが、ドンキエールは離さない。顎力計で測定下限値以下だったとは思えない挟みっぷりだ。
下がるアトラスが土俵の端で足場の悪くなったことに乗じて、ドンキエールがアトラスをひっぺがして勝利した。
タコ飼いの効果があったのか?
だがこのアトラスはオオクワによって頭に穴を開けられて以後、我が家のすべてのクワガタに負けるほど弱くなっている。この勝利だけではドンキエールの実力はまだ評価できない。次の対戦相手が必要であった。

 

 

ドンキエールVSマキシムスマルバネ62mm
マキシムスより弱いコンフキウス80mmが居るのだが、これは奥歯で相手の顎を折る必殺技を持っているため、顎の細いドンキエールには危険な相手である。
ここは強敵ではあるが、マキシムスと対戦させることにした。逆に、これに勝つことができれば本物ということでもある。
試合開始と同時に前に出るマキシムスをドンキエールは自分の間合いで簡単にロックした。
明らかに試合運びが向上している。(写真)
マキシムスは我が家に招聘当初は挟まれることを極度に怖がると思われていたが、その後の対コンフキウスやセアカ戦で、自分が勝てる相手には挟まれても全く平気だということが分かってきた。
今回もマキシムスはドンキエールの締め上げには全く動じず、この後さらに潜り込んでドンキエールを押し出し勝利した。

 

 

ドンキエールは強力な足腰とは裏腹に華奢な上半身のためか、挟んだ後の技に欠けるようであった。逃げることはないが、押し込まれただけ下がった後は前には出てこない精神面も改善されていない。
私はさらに少し体格のある相手との同居によるトレーニングを行うことにした。

同居相手は、同体格ながら片顎のマンディ73mmだ。これはちびギラファ、コンフキウスとの連戦で同じ箇所に奥歯攻撃を受けて、左顎を根元から無くしているため事故の心配が無い。脚力もドンキエールのほうが上であろう。
ケース内で両者は熱戦を繰り広げた。
一方的に挟み、攻めている時間の長いのはドンキエールであるが、マンディはさすがに気が荒く投げられても何度も向かっていった。そして、片顎でドンキエールの攻撃を弾きつつ「リングにかけろ」志那虎のローリングサンダーか、はたまた沖田総司の三段突きのような目にも留まらぬ三連発の頭突きで相手を吹っ飛ばしたりもする。
そして翌朝、餌場の特等席に居たのはマンディの方であった(がっかりして力が抜けた)。
それでもドンキエールの闘争心が衰えたわけでもなく、出会えば再び激しく戦うので、
「さすがに片顎相手ならば最終的には圧倒するだろう。」とそのまま同居させた。

所用で出かけて放置すること三日。様子を見てみると、両者とも精根尽き果てたように中ケースの対角に別れてじっとしていた。
どちらも怪我をしているわけでもないが、ドンキエールが何か変なのでよく見てみると、
「ノォォォ〜! ドンキの両顎の内歯と顎先がすり減って無くなってる! めちゃ格好悪〜い!!」
「顎がこんなに減るまで一方的に相手を挟みまくりながら、引き分けかい!」

もはやこれ以上のバトルは無理と判断し、マンディの替わりにメスをケースに入れた。
すると、ひとしきり暴れて満足したのか以前のDVがすっかり影を潜め、ドンキエールは「やりまくり」の日々を過ごすようになった。
タコ飼いスパーリングによって、何故かあっちのテクニックが開花したドンキであった。

 

 

 

 

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