第37話
「サイボーグ作戦」
冥界の騎士団長・ブケットフタマタクワガタ登場
「むしさんすきすき」の各話の題名は、一部の例外を除いて「ウルトラセブン」やウルトラシリーズの各エピソードの題名から持ってきている。
子供時代、最も好きだったヒーローがセブンだったのだ。
今でも、車の中では歌謡曲よりもヒーローソングを聴くことを好む。
最近のお気に入りは「スペクトルマンGoGo!」と「正義のシンボル・コンドールマン」「ダイヤモンドアイ」の3曲だ。
曲に関しては、番組の出来とは関係ない。
「ダイヤモンドアイ」を今見たいとは思わないが、この歌はいい。
オタクだな。
妻は嫌がって、「これ、バカっぽい!バカっぽい!!せりちゃん、消して!!聞いているとバカになりそうになるから。」と、娘にスイッチ切りを命じる。
しかも、「流星人間ゾーン」で盛り上がって、次の曲がおまちかね「スペクトルマン」、というタイミングで消しやがる。
うわああああ!!ヤメテ!!ヤメテ!!人権蹂躙!!
セーラームーンのテープに換えられる。
この風貌で、「セーラームーン」の曲をほとんど歌えるのは変態ですか。(変態です。)
仕方ないんじゃ!!ほぼ毎日聴かされて、暗記しないほうが難しいんじゃ!!
「サイボーグ作戦」。
今回はウルトラセブンの、甲冑星人ボーグ星人の話の題名だ。
2チャンネルの昆虫板に、モー虫へ改造昆虫の参戦を希望する書き込みがあった。
その書き込みに対して、「すでに義足や人工アゴの虫が参戦済み」というレスがあった。
「ふせつ切れ」への対応策として、人工ツメ&人工ふせつによる義足の装着を行う。
第8回大会のアトラスBの試合レポートの中で、「義足があったらいいなあ」という話を書いた。
そしたら、なんと、均太郎さんがすかさずその夢を実現させてくれた。
ふせつ切れの後ろ脚に、釣り針と弾力性がある金属製のラインによる義足を装着したコーカサスがMKOCに登場!!!
アゴ折れのセアカフタマタが、これまた大型の釣り針を加工した人工アゴを装着して登場!!!!
なんという行動力。
疾きこと風の如し。
均さんとは凄い男よ。
男とは、行動力である。バイタリティであり、情熱である。
能書きをたれるばかりで行動が伴わない男は大成しない。
秀吉の墨俣築城を見る思いだ。
MKOCを見ていて思う。
その行動力、バイタリティ、情熱、そしてサービス精神。仲間への愛情がある。
そして、激しく戦わせている中にも、自分の虫たちへの愛情がある。
身内褒めになるが、すばらしい男よ。
何をやらせても、きっとなにごとかをなす男であろう。男がほれる、尊敬できる男だ。
わしもやらねばなるまい。
私も義足の製作に取り掛かった。
甲虫サイボーグ1号はコーカサスUとスマトラ、ケンタウルス。
コーカサスは後ろ脚二本を人工フセツに。
左前脚を義足にしたスマトラ。 相性は悪く、何度も爪を折ってしまった。 絵的には似合っていたのだが・・・。 ライダーマンのアタッチメントのよう。 バトル時も活用せず、彼にとっては邪魔な装備だったようだ。 |
リアル・サイボーグ状態、5本義足のつのジャギ。ロングレンジ・アイアン・クローを繰り出すなど、相性良く、装着前よりしぶとくなった。 しかし、時期外れの招聘でもあった彼は、長生きはできなかった。 脚のシャフトは長めにとったほうが、虫の負担・ストレスは少ないようだ。 |
今回の主役・ブケット団長VS右中脚義足のケンタウルス。ケンちゃんは義足をあまり苦にしていなかったようだが、やはり短命に終わった。 |
コーカサスはバカ力で、自分のふせつをもちぎってしまう。
特に、後ろ脚をちぎるのは得意中の得意だ。
針は返しのないアユの友釣り用のヤツを使う。
ラジオペンチで曲がりをゆるやかにして、足場に鋭角に刺さることがないように調整する。
尺鮎用と小型3号の中・小二種のサカサ針を用意した。
コーカサスにはもちろん大きいほうを使う。
その針を、軸になる透明なビニールパイプ(からみ止めパイプ)の先につける。
パイプの中に、ワイヤー(♯40コーティングワイヤー)を通し、弾力性を確保する。
熱で縮むタイプの、黒いビニールパイプ(釣具用2,0mm収縮パイプ)で虫の脚と連結する。サイズが合うように、同程度の太さの虫の模型の脚を利用するなどして、お湯に通したり、ライターであぶったりしてピッタリ合うようにしておくといい。
瞬間接着剤を使う場合、ピッタリサイズでないと、なかなか強力に接着できない。
私は、熱を加えることが怖かったので当初はそのままボンドで装着していたが、これは接着に時間がかかる上に弱く、なによりもカッコ悪い。
鈞さんのアイディアを頂いて、やはり熱収縮させてサイズを合わせることにした。危険性の問題は身代わりの模型を使うことでクリアできた。
さすが鈞さん、こっちのほうがやっぱり数段かっこいい。
虫の脚の余計なトゲはニッパーで取っておき、瞬間接着剤で装着する。
各種義足。大型のものはコーカサスやアトラス用、小さなものはクワガタ用だったが・・・。 初期型は熱処理で収縮させることをしていなかったため、ブカブカのサポーターみたいでかっこ悪い。 |
当初は、返しのない鮎用のサカサ針を使用したが、3号はもちろん、尺鮎用のものでも甲虫のパワーの前には通用せず、ことごとく折られてしまった。 ちなみに、この初期型の爪の角度は鋭角過ぎてリング上での歩行に支障をきたす。 ペンチでもっと広げよう。 広げすぎかな?と思うくらいで丁度いい。 (特に後脚。) |
材料一覧。 ほとんど釣具店で購入できる。 上段左から、鮎用サカサ針二種、からみ止めパイプ、下段左2,0mm収縮パイプ、♯40コーティングワイヤー。 |
大きさ的に丁度良く、見た目のバランスもいい鮎用サカサ針だが、止まり木がなくても、簡単に折られる。 見た目のバランスは最悪だが、カレイ用10号などのバカでかくて錆びにくいもののほうがいい。 付け直しはかなりの手間だ。 |
ゴールデン・クロウ。 強く、さびにくい。(最終的には錆びるが。) 外観的には大きくて不恰好になってしまうが、甲虫の力に対抗するにはこの位の大きさのものでないと通用しない。 |
頭角に玩具のヘラクレスの頭角を移植、サイバー化されたヒルスちゃん。 おお!!なんかヘラクレスみたいだ!! よく見ると違う。 アディダスのウインドブレイカーが流行ったとき、親に「マディダス」を着せられていたSを思い出す。 |
同時期に、四天王・子供おやじ教授も義足を開発。
それは非常にフレキシブルに動き、見た目も美しいV字ツインタイプのものだった。
わしらは気が合うのう。以心伝心でテレパシーが働いたかのように3人が義足を作製。
教授のはグリップよりも虫へのやさしさを優先した、教授らしい義足だった。感動。
さすがモー虫の知将。
モー虫の今孔明、もしくは竹中半兵衛だな。
モー虫で、義足を装着した虫は前述の3選手のほか、コーカサスV、つのジャギ、つの四郎、ヘラクレス、二代目ワラストン。
つのジャギに到っては、6本の脚のうち、5本が義足に。
カルコソマではまずまず上手くいった、といっていいだろう。
彼らは豪放磊落で、細かいことは気にしない。悪く言えば無神経で、あまり深くモノを考えていない。
それゆえに、義足を付けられたことで、神経質になったり、嫌がってはずそうとしたりはしない。
これはありがたい。
おまえら男よ。
教授のV型義足。美しい!!
止まり木はもちろん与えてはいけない。
微妙なコントロールができない義足を後ろ脚に装着した日には、引っかかって、虫自身も、義足もボロボロになってしまう。
余計なエネルギーを使いまくって、すぐに死んでしまうだろう。
止まり木さえ入れなければ、案外上手に義足を使い、生活できている。
ひっくり返ったりもしない。(ケンちゃんは別。アレは義足でなくてもひっくり返るから。)
バトルでは、突進の際にブレーキになってしまうが、防御力は増大。
コーカサスにとって小さいモー虫のリングでは、後ろ脚がはみ出てしまうこともあったが、つのジャギに関しては装着前より明らかにしぶとくなった。
昆虫の細いツメより、金属のツメのほうが強いのは当然だ。
一時は「ふへへ・・・。コレでもうフセツ切れは怖くねえや・・。」と思った。
義足はいいことずくめか。
いや、残念ながらそうではない。
「人工フセツ講座」は、記念企画として、ひとつのコーナーにするつもりであった。
しかし、それはやめた。
人工フセツには、大きすぎる欠点があるからだ。
前の欄にあえて書かなかったが、「冥界の騎士団長」ブケット団長(ブケットフタマタクワガタU)も、義足装着した選手のひとりである。
彼は、モー虫第二期(一期に活躍したメンバーが去り、メンバーの切り替わりが行われた冬のシーズン)に来日を果たしたメンバーの中で、一頭地抜けた実力を持つ、エース候補生であった。
歴代のモー虫フタマタでは明らかに最強。
ミドル級の選手では対抗できない力を持つ選手だった。
同等の体格で、優勝経験もあるセアカを直接対決で激戦の末に撃破。
ローゼンちゃんやダールマン、コーカサス、ヘラクレスをも撃破。
ホーペイとインター以外は怖いものがない、優勝も射程圏内、というところまできていたホープだった。
しかし、彼に転機が訪れる。
突然、右のふせつが二本も失われたのだ。
原因不明。水分も十分だったはず。バトル中の話ではなく、ケース内で勝手に取れていたのだ。
これではバトルにならん。
初期のモー虫で、複数のふせつが取れてしまった虫の実力低下は顕著で、二本のふせつが失われたならば、その戦闘力は半減すると見てよい。
昆虫戦車・アトラスB、機動要塞・コーカサス短角がそうだった。
五体満足だったときの強さは全く失われ、格下にも簡単に敗れるようになってしまったのだ。
(不思議と1本までは大丈夫。数値にすれば戦闘力低下は間違いないのだろうが、1本なくなってもまだ十分に戦えるだけの力は維持できるようだ。)
心底がっかりした。
お前の時代はこれからだろうが・・・・。
人工フセツを付ける。
抵抗が激しく、大苦戦の末、なんとか義足装着。
ゴムパイプと甲虫の装甲、そして瞬間接着剤の相性は悪い。
なぜかなかなか付かないのだ。
揮発するあの臭いは、周囲に白く濁った付着物を生じさせる。
甲虫にとって良いわけがない。
触覚の機能を麻痺させてしまう可能性もある。
(予防のため、虫の頭は水で濡らしておく。)
かといって普通のボンドでは、硬化するまでに時間がかかりすぎ、彼らの怪力の前にもぎ取られて御仕舞いになってしまうので使えない。
苦労して付けた団長の義足だったが、数時間もしないうちに団長は、「こんなものいらぬわ!」とばかりに力任せに二本とももぎ取ってしまった。
さらにがっかり・・・・・。
彼らの力は異常だ。
スケール換算すれば、数トンなのだ。
瞬間接着剤をちぎり、鋼鉄製のツメをも簡単に折ってしまう。
あの小さいスマトラや、のんきもののケンタウルスですら鮎針をへし折ってしまう。
鮎用の小型の針ではダメだ。大きくて強くて太い針でなくては。
見た目でバランスがいい小型の針はあきらめた。最近は不恰好に大きい、大型のツメ・ゴールデン・クロウを使っている。
ブケットにもゴールデン・クロウを付けたのだが、根元から抜かれては仕方がない・・・。
もう1回やりなおしか・・・・。心がなえる。
心を鬼にして、1本付け直す。
抵抗が激しい。
1本であきらめた。
本人も望んでいるようだし、仕方がないからそのまま参戦させることにした。
団長は予想以上に頑張った。
底力がある団長は、順調に勝ち上がる。
そして、無敵の甲虫空母・ホーペイとの対戦を迎える。
完全に開花した甲虫空母は、文字通り「最強」。
団長は正面から迎え撃ち、粘るが、なんと、ふんばりが限界を越えた義足が外れてしまう。
そして、最後は脚の有無の差が、彼を敗北させた。
テリーマン状態だ。
闘志はあったが、体がついてこれなかった。
無理もない。右サイドは、脚が1本しかないのだ。
それでも戦うところが彼のすごいところだが。
ヘビー級の虫の闘いに使うには、接着部の強度不足だ。
あの抵抗を考えると、気の毒で、また義足を付けようという気力は沸かない。
残念だ・・・。ブケット団長よ・・・。お前はこれで終わりなのか。
さらなる、そして決定的な打撃が私を襲う。
ヘラクレス・エクアトリアヌスの左後ろ脚のふせつが麻痺。
小型ヘラクレスである、我が家のヘラちゃんの武器は機動力。
ヘラクレスらしからぬ速さで出入りを繰り返し、サイドを狙っていく。
しかし、後ろ脚に義足を装着すれば、その機動力は全く失われてしまうだろう。
義足は見送り。
そしてさらに事件が。
ヘラちゃんには、バナナをよくやっていたのだが、バナナはマットを汚す。
ヘラクレス・エクアトリアヌスも5本義足に。 しかし・・・・。豪放磊落なカルコソマと、デリケートなヘラクレスの違いを思い知らされる結果に・・・・・。 ヘラちゃん・・・・・・・・・。 |
彼のお腹にも、バナナ汁はたっぷり付いていたのだろう。
おなかのあたりに、粉のような極小タイプの白いダニが発生。
こいつは私が一番嫌いなタイプだ。
放っておけば、全身を粉で包むように広がる。
しかもしつこく、流水&ブラシ程度では撲滅できない。
目の回りについたやつなどは、いやになるほど取れにくい。
私はヘラちゃんを乾いた針葉樹マットのケースに移した。
水のケースも置いたのだが、悲劇は起こった。
フセツ麻痺の時点で弱っていたのだろう。
バナナはゼリーに比べ、水分が少ないらしい。
ヘラちゃんはバナナが大好物で、最近はバナナばかり食べていた。
ポスト=ハーベストや農薬の影響もあったのかもしれない。
長時間流水&ブラシで洗われて、さらに弱ったに違いない。
そして乾いた部屋。
3日もしないうちに、さらに4本のふせつが麻痺。
長寿であるヘラクレス。1本しか脚がない状態でこの先、生きていかせるのはあまりの気の毒。
迷った末、サイボーグ化を決断。このままではどうしようもないからだ。
5本の義足を装着。
しかし、この手術は大失敗だった。
5本もの義足を付ける手術に、弱った彼の肉体と、コーカサスとは全く違うデリケートな神経が耐えられるはずもなかった。
ユンケルを投与、出来る限りのことはしたが、日に日に衰え、一週間もしないうちに死去。
サイボーグ姿でリングに立つことなく彼は行ってしまった。
なんのための手術だったのか。
私は落ち込んだ。
彼はヘラクレスだ。ローゼンちゃんや二代目セアカっちとともにこの家に来た。
来た時点では成熟が足りない感じで、戦意が薄い虫だった。
そのとき未成熟だったとすれば、この死は早すぎる。
全部私のせいだ。
すまぬ・・・・ヘラちゃん・・・・・。
もう義足はやらん。
そう思った。
義足は残念ながらストレスになる。
同じ虫でも、フセツ切れを放置した場合と、義足を付けた場合では、大きくその後の寿命が違うようだ。
アトラスBとつのジャギを単純に比較はできないが、アトラスBの異常な長生きと、つのジャギの短命は印象深い。
つの三郎と、義足装着のつの四郎もまた、寿命に大きな差がついた。
装着後の生活以上に、装着の際の体力消耗、ストレス、接着剤から揮発する有毒成分の影響が大きい気がする。
そして先日、さらに悲劇が発生。
タランドゥスとのリベンジマッチで、よりによってヒルスちゃんの角先がへし折られてしまったのだ。
え〜ん!!ごめんよごめんよ!!!かわいそうなことをしてしまった・・・・。
その上、団長の右サイド最後の1本の脚もなくなった。また原因不明の脱落だ・・・・。
げげげげっげえ〜!!そ、その上、招聘直後、輸送中にワラストンのフセツが取れるという惨劇が私を襲う。
もうダメだ・・・・。
もはや「サイボーグ作戦」を放棄したつもりだった私だが、ここはやらねばなるまい。
特にヒルスと団長は放ってはおけない。
傷口から黴菌が入ったり、ケース内で転倒したりして死期を早める可能性は非常に高い。
嫌だが、手術しかない。
ヒルスには、おもちゃのロボットに付属していた銀色のトマホークを移植。
まさにサイボーグに。
・・・・・。しかし、本人は非常に嫌がって、一生懸命取ろうとしている・・・・・。
これはさらに死期を早めるのでは・・・・・・・。
悪趣味なトマホークはあきらめ、昆虫模型のヘラクレスの角を移植。
今度はぴったりだ。
本人も納得した様子。
ブケット団長には3本の義足を装着。
フレキシブルに動けるように、あごを上からかぶせる動きができるように、長いシャフトの脚にした。
かっこ悪いが、この方がお前は戦いやすいだろう。
あまり何も考えていなさそうな、ワラストンにも装着。
彼ならそんな小さなことは気にしないだろう。
(実際、全く気にせず。かぶ八郎との対戦で、ハイパー化した八郎のジェット=アッパーで二度にわたって吹き飛ばされるが、飛ばされて着地したリングの端からかぶ八郎がいる反対側まで疾走、背後から襲いかかるクレイジーぶりを発揮。走れるのか・・お前は・・・。)
三本義足のブケット団長。 闘志は衰えを知らず。 喰らえ!甲虫処刑台・ジ・エンド・オブ・フォーチューン!!!! |
1本義足のまだら狼。 リングの端から端まで、疾風のように疾走することまでできる。 義足など、彼にとっては些細なこと。クレイジー・ファイターの鏡。 |
最初にヒルスのツノに移植した「昆虫ロボ」用トマホークの先っぽ。 さすがにコレは恥ずかしかったか、温厚なヒルスちゃんも断固拒否。 有利になると思うんだけど・・・・。 |
先日の第30回大会1回戦。
サイボーグ軍団はどう戦ったか。
ヒルスシロカブトは、スピードと切れ味ではるかに優る「赤サソリ」かぶ八郎に長期戦の末、ねばり勝ち。
ワラストンも、ハッスルしていた「鐘撞き男」エウリケファロスを一方的に粉砕。
そしてブケット団長の登場だ。
1回戦は復調の「鉄腕獅子」・アンタエウスを簡単に撃破。
2回戦は「金色夜叉」ローゼンちゃんの攻撃をしのぎ、勝利。
準々決勝では「絶対王者」ギラファっちフォルコメンハイトと激突。
さすがにフォルコメンハイトには勝つことはできなかったが、義足のハンディを吹き飛ばす活躍を見せた。
いや、正直に言えば、「吹き飛ばす」ほどの動きはできない。
片側全部が義足となってしまっては、前進しようにも思うに任せない。
新世代のエース候補生だったブケットの、当時の実力は、もう帰ってくることはないのだろう。
それでも、片側全部が義足でありながら、「戦おう」という明確な意思を示し、逃げようとしない彼の魂は当時と何の変わりも無く彼の中で燃え続けているのだろう。
MKOCには、銀色の鎧(聖衣?)を装着した聖闘士・かぶ太郎まで登場。
国産カブトムシの最大の弱点・装甲の薄さをカバーする鎧は、甲虫バトラー長年の夢。
しかも、これは着脱可能なようで、虫にもやさしい。
手先が器用なひとならば、サイバー甲虫を作り出すことも夢ではなかろう。
一度は捨てようとした技術「サイボーグ作戦」。
ブケット団長、ワラストン、ヒルスの奮闘は、もう一度「甲虫サイボーグ」の意義を、夢をよみがえらせてくれた。
ただ餌の上に乗っているだけで長寿を保ったアトラスBは、幸せだったとは言えないだろう。
もう一度、失った足を取り戻し、自分で歩いて餌を食べに行くことができて、もう一度戦うことができれば、虫にとってもいいことではないか。
1回や2回の失敗で、簡単にあきらめてはいけなかったのだ。
それをおまえたちは教えてくれた。
義足のハンディを根性と熱い魂で跳ね除ける。
ブケット団長よ。おまえは、モー虫の「テキサスの荒馬」・テリーマンなのだ。