第36話

「明日のエースは君だ」

まぼろしの金色夜叉

ローゼンベルグ・オウゴンオニクワガタ登場

 

 

 

ローゼン「オニクワガタの優秀さを、世界に認めさせるのよ!!」

ピギャアアアアアアアアアアアアン!!ズシーンズシーン!!

チロー「ローゼン!!だめだ!!戦っちゃ!!

ローゼン、君が勝ったら僕はおにいちゃんを失う!!

マジンガーが勝ったら、僕は君を・・・!!

いやだ!!そんなのいやだ!!」

 

 ローゼンベルグ・オウゴンオニクワガタ。

 世間一般で、コレを「強い」と思っているひとはほとんどいないだろう。

 

 初期のムシキングでは、強さの評価が「180」。ほぼ「最強」に準ずる評価であった。しかしそれは、「珍種」「ブリード困難」「飼育はきわめて難し

い」とされた時代に生まれた「伝説」であり、「神秘性」というベールに包まれたまぼろし、ファンタジーに過ぎなかった。

 

 ムシキングのブームの盛り上がりとシンクロするように、オウゴンオニクワガタは普通に売られる種になり、ブリード方法が確立され、上手に飼えば長生きすることも知られるようになってきた。

 

 「強さ180」という神秘、いや、幻想のベールもまた・・・。

 

 それはショップで「オウゴンオニ」を購入した子供たちの手で暴かれていった。

 「よ、よええ〜・・・・・」

 「ま、マジでよええ〜〜〜〜・・・・。」

 

 「オウゴンオニを戦わせよう」なんて、普通の常識ある大人は思わない。

 どう考えても強いわけないからだ。

 「体が弱い」「デリケートですぐ死ぬ」というイメージがあるオウゴンを戦わせる。

 いや〜、それはダメでしょう。ショックで死にそう。みたいな。

 

 甲虫バトルの第一人者である虫王の本でも、「世界で五本の指に入るほど闘志がない」とまで書かれている。

 

 また、別の某甲虫バトルのビデオでも、1回戦で大型のニジイロクワガタと塩を通り越した泥試合を繰り広げた末に、2回戦を「一身上の都合で」棄権させられている。

 もちろん五体に損傷はなく、ピンピンしているのだが、1回戦の体たらくを見た製作者側が「これ以上出場させ続けたら、ビデオそのものまでショッパくなってしまう」ことを危惧し、ムリヤリ棄権させたものと思われる。(念のため:ビデオそのものは面白い)

 

 あのニジイロVSオウゴンの試合なら、自主的なコンタクトがある分、虫王の伝説試合・タガメVSヒシムネカレハカマキリの方がまだいいだろう。

 

 「強さ180」は、笑い話になった。

 

 

 

 強い弱いは別として、私もオウゴンオニの存在は気になっていた。

 

 存在感満点のその姿。

 なんといっても黄金ですよ、黄金。マジで黄金色なのだ。

 しかし、モー虫に登場させることには躊躇があった。

 

 すでに「弱い」という噂はあり、昔からの「すぐ死ぬ」説もあり、しかも、大きい個体はやっぱり高いのだ。

 そんな金を出して、「どう考えても弱そうな」「メスに毛が生えたようなスタイルの」虫を買うくらいなら、フタマタやノコギリ、ヒラタの強いヤツを買った方がいいのではないか。

 

 でも、コレ、可愛いけど・・・。物凄くかわいいケド・・・・・。

 ある日、私は出会った。

 大きくて可愛いローゼンベルグ・オウゴンオニクワガタに。

 それがローゼンちゃんだ。

 

 強いわけがナイ。戦わない可能性も高い。でも、買っちゃおう。

 弱くてもいい。その可愛らしさは、それをも補って余りある。

 長生きしろよ。

 

 当初の私の彼への期待は、「長生き」、ただそれだけだった。

 

 

 

 いざ、戦わせてみると、サッパリだった。ダメダメ四天王入り。

 「やっぱりな・・・。そうじゃないかと思っていたんだ・・・・・。」

 予想通りの弱さだ。

 強い・弱い以前に、戦わないのだ。

 

 どっかのムシキング関係のWEBに、「オウゴンオニ、本物買ってやったら子供ガッカリ」みたいな記事があった。

 「強さ180」「相手の脚を斬りおとしてしまう」といったところで幻想が膨らみまくっていたところへ、本物のオウゴンオニのプレゼント。

 一目見て、イメージと違うことに不安が膨らむ子供。

 ちょっと戦わせてみよう。

 まずはかませ犬として国産ノコ、行け!!

 

 ・・・そして・・・。

 脚を斬りおとすどころか、国産ノコにすらコロリとやられるていたらく。戦意薄く、逃げの一手。

 コレは金色のメスカブトだよう。

 僕が欲しいのはこれじゃないよう!!

 

 分かる。分かるよその気持ち。

 つーか、「準最強」「脚斬り伝説」、そんなの真に受ける方がどうかしてるって。

 私は笑いながらそう思った。

 

 

 

 しかし。

 粉々に砕けた幻想は、ある日、復活する。

 

 

 ヘラクレス・エクアトリアヌスを脚斬り地獄・ダールマン・ハリケーン・アタックで粉砕。

 

 カブ2号を奇跡の技・クロノス・チェンジでKO。(動画保存館へ

 

 マンディブラリス(マンディ・シャドウ)にD・ハリケーン・アタックで逆転勝ち。(動画保存館へ

 

 スマトラヒラタをジェット=アッパーで場外葬。(動画保存館へ:初公開http://www.bannch.com:88/servlet/BBSres/29259/21900334

 

 インターメディアにショルダー・スルーで逆転勝ち。(このページの画像参照)

 

 ギデオンを甲虫竜巻地獄・デス・ツイスターでブン回し、心をも折ってKO勝ち。

 

 ダールマンの猛攻を凌ぎ、コークスクリュー・カニレーザーで逆転勝ち。(このページの画像参照)

 

 ヒルスシロカブトをD・H・アタックからデススロットル・ツインロッドで失禁KO。(リンク

 

 ティティウスを甲虫くぎ抜き地獄・ローズサイクロンでブン投げる。(リンク

 

 リノケロスにツインランサーを食らいながら、ヘルズ・カニレーザーの頭盾ピンポイント直撃でのけぞらせ、場外葬。(動画保存館へ:初公開http://www.bannch.com:88/servlet/BBSres/29259/21900418

 

 

 その他、勝ち星多数。

 

 

 

(第21回大会準決勝:VSインターメディア。ホーペイ、コーカサス、タランドゥスを連破してきたインターのシュツルム=ファウストが炸裂。押し込まれるローゼンちゃんだが・・・・。TOP画像に続く)

 

(第22回大会1回戦:VSダールマン。狂犬の猛攻に堪忍袋の緒が切れるローゼンちゃん。驚異の新必殺技・逆転のコークスクリュー・カニレーザーが爆発!!)

(当時最も勢いがあった狂気の狂犬を、大逆転・番狂わせの場外葬!!)

 

 

 

 

 安定感は全くないが、いざ戦えば、驚くべき強さを発揮する。

 スマトラ、インターメディアを破った第24回大会では、なんと決勝進出。

 おおおお・・・・。あんなにダメだったのに・・・・。

 

 

 先日の第28回大会。

 ローゼンちゃんは前回大会から参戦の新選手・「樹液場の天皇陛下」マンディブラリスUと激突。

 先代マンディシャドウをはるかに凌ぐ体長の新マンディは、マンディブラリスの名に恥じない実力者だ。

 マンディブラリスの一般的なイメージそのままの「デカくて凶暴で強い」選手だ。

 「無敵の鋼鉄参謀」つの五郎、「ソロックの破壊天使」アルキデス・バラクーダなどの「かなり強い」クラスの虫でも、天皇陛下にはかなわない。

 マンディシャドウには勝てても、さすがにコレは難しかろう。

 

 食事中のローゼンちゃんをリングに出す。

 おお!!プンプン怒っている。ご機嫌斜めだ。

 天皇陛下登場。

 こっちもお怒りだ。

 

「なんでおじゃるか、そのチャラチャラした金ぴかの衣装と頭髪は!!貴様それでも日本人でおじゃるか!!」(いや、外人なんだけど・・・。)

 WWEのオカマレスラー・「金色の美川憲一」「ひとり金粉ショー」・ゴールダストばりのいでたちが、甲虫後醍醐の勅勘に触れる。

 

「なんじゃそのオソマツなアゴは!!それでもウタマロの国の大和男子か!!見よ!!朕の見事なイチモツを!!これぞ漢のシンボル。雄渾というほかなし。」

 甲虫界で1・2を争う、見事な大アゴをそびやかすマンディU。

 それに比べれば、ローゼンちゃんのアゴは、小学生の包茎チンコでしかない。

 格が違う感じだ。

 

 「ハイパー・ブラッディ・ハマー!!!」

 当社比(シャドウと比べて)12,5倍の威力の、マンディの必殺技が爆発する。

 陛下自ら、攘夷決行。

 

 あっさりつかまってしまうローゼンちゃん。ギリギリギリ・・・・・

 

 しかし・・・・。

 「・・・・誰が包茎チンポですって!?」ローゼンちゃんの怒りが爆発する。

 

 マンディUVSローゼンちゃん(動画)

 

 

 

 ハイパー・ブラッディ・ハマーと、ダールマン・ハリケーン・アタック、両者の必殺技の正面衝突。

 見ごたえ十分のせめぎあいは、なんと、ローゼンちゃんに凱歌が上がる。

 

 包茎チンコに毛が巻き込まれた時のような、鋭い痛みがマンディを襲う!!

 脚を束ねられたマンディは、ハマーを決めながらも踏ん張りきれず、ローゼンの逆転を許してしまう。

 場外KOだ。

 

・・・オウゴンオニクワガタ。

 彼は金色に塗ったメスカブトではなかった。

 お父さん、お坊ちゃん、そのオウゴンは、小さかったんですよ。

 もしくは成熟度が足りなかったか。

 

 伝説、ファンタジー。

 それは時に真実を含んでいる場合がある。

 

 それをローゼンは教えてくれた。

 

それはその気になりさえすれば、最強虫マンディをも上回るパフォーマンスを発揮する実力虫であったのだ。(安定感は全くないが。)

強さ180のファンタジーは現実であったのだ。

幻の技、伝説でしかないと思われた「脚斬り」・D・ハリケーン・アタックは実在したのだ。

 

 

某団体の空手選手が、新宿でオカマと喧嘩をして、ハイヒールでの地獄ストンピングで穴だらけ、血まみれにされてKOされた話を聞いたことがある。

彼ら(彼女ら?)は見た目は女みたいで、立ち居振る舞いは本物の女性以上に女らしい。

しかし、いざ怒れば、それは男と変わらず、その技・ハイヒールストンピングは残虐かつ、この上なくえげつない。

 

 「おかまキックボクサー」として一世を風靡した、パリンヤーを思い出す。

 「おかまキックボクサー?そんなの色物だろ。本当に強いわけない。面白おかしく脚色されたファンタジーだよ。」彼女(?)も最初はそんな色眼鏡で見られていた。

 しかし。

 彼女には、リアルファイトで日本人キックボクサーをボコボコにする実力があった。

 

ローゼンベルグ・オウゴンオニクワガタ。

お前はモー虫の、「ビューティフル・ボーイ」パリンヤー・ジャルーンポンであったのだ。

 

 

 

 

 

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