第9回大会

3回戦第一試合

百戦錬磨の破壊獣・アトラスオオカブトA

VS

ネグロスの長距離カノン砲・インターメディアツヤクワガタ

 

 

 久々の本編レポートは、破壊獣VSカノン砲のライバル対決だ。

 両者の対戦成績は、ここまで2勝2敗の五分。

 インターメディアのここまでの戦績の、ただ二つの黒星のすべてが、破壊獣との対戦で喫したものだ。

 

 前回大会、インターメディアは、大会の台風の目・コーカサス短角を粉砕。

 破壊獣もまた、今大会2回戦でその短角コーカサスを撃破している。

 

 5度目の対決。その決着戦の行方は・・・・・。

 

両者は、序盤から極めて激しい攻防を展開。

好試合・凡戦・塩試合と、玉石混淆の第9回大会だが、この一戦と、次のコーカサスVSワラストンは珠玉の好勝負となった。

 

インターメディアとアトラスAの対決でつまらなくなるわけもない。

短角コーカサスを粉砕した勢いをそのままに、破壊獣が迫る。

 

ロングレンジのパンチがうなる。

アトラスは強く、種族全体としても好戦的な種であり、コスト・パフォーマンスではすべての甲虫の中でナンバーワンだ。

しかし、案外その強さの個体差は大きい。

闘志がない個体は珍しいが、やる気はあっても弱い個体も存在する。

 

モー虫には多くのアトラスが参戦したが、つの三郎、つの五郎、そしてこの破壊獣・アトラスAは飛び抜けて強い個体だった。

この試合でもその実力を遺憾なく発揮、インターを攻める!!攻める!!

 

インターメディアも負けてはいない。

現在は平成18年の8月。この戦いから1年近く経っているが、

高齢化し、じいさんになった今でも、インターメディアは素晴らしい虫である。

 

こんな虫は他にいない。高齢化しても闘志を失わず、誰と戦っても素晴らしい戦いぶりを見せる。

この当時は「強すぎてにくたらしい」北の湖チックな面もあったが、しがみつく力、挟む力といった戦闘力が低下した今は、逆にちょうどいい強さになった。

素晴らしい年寄りの冷や水。

昔と変わらない闘志で、激しく戦う。えげつなく相手の脚をピンポイントでねじり上げ、技を返されても諦めることなく戦い続ける。

それにつきあわされる相手は、秘めていた底力を引き出され、逆転、また逆転の見応えある戦いが繰り広げられる。

天皇陛下・マンディブラリスUや、黒いダイヤモンド・オオクワガタは、インターが相手だと、普段の十倍面白い。

 

強さ・積極性・テクニック・パワー・スピード・スタミナは文句なし。

バトルにおいて塩試合の原因となるナーバスな面、デリケートさは皆無。

飼いやすさ、長生き度、最高。

すべてを総合すればモー虫のベスト甲虫であると言える。

欠点といえば、ミドル級の中にはいると強すぎること、相手に怪我を負わせる可能性があることくらいか。

 

 

ベスト甲虫・インターメディアと、ベストアトラス・破壊獣の対決は、丁々発止のせめぎ合いの末、インターメディア優勢にかたむきはじめる。

 

やはり底力ではインターが一枚上。

破壊獣はインター殺しの必殺技・「最後の晩餐」ゴルゴダ・クロスに持って行きたい所だが、インターの激しさにうまく急所をとらえることができない。

 

 

 

 

 

フィニッシュは、シュツルム=ファウストが頭部に斜めに入って場外KO。

王者インターは、短角コーカサスすら圧倒する破壊獣をも圧倒。

伊達に大会二連覇を達成したわけではないことを証明。

 

次の餌食は暴君龍・長角コーカサスか?まだら狼・ワラストンか?

濃厚に三連覇の気配を漂わせながら、王者インターメディアがベスト8進出!!

 

ネグロスのカノン砲よ。

お前はなんて強いのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                  爆発!!シュツルム=ファウスト

 

3回戦第二試合

ボルネオのまだら狼・ワラストンツヤクワガタ

VS

無敵の暴君龍・コーカサスオオカブト長角

 

 

「戦うため」の究極の進化を遂げた昆虫ティラノサウルス・コーカサスオオカブト。

 

これほどすばらしいグラジエーターはいないだろう。

 

戦うための機能を備えた雄の甲虫でも、なかなか戦ってくれない種類も少なくない。

 しかし、コーカサスにそんな心配はご無用。                                                             

 いざ、リングに登場すれば、100%の力で大暴れしてくれる。

 

 現在、モー虫はライト級GPが行われており、それはそれで面白いのだが、やはり迫力は大きい虫の戦いには及ばない。

 真の甲虫バトルの醍醐味は、80ミリや100ミリ、場合によっては130ミリといった大型個体同士の戦いにあるだろう。

 鈞さんのMKOCや虫王さんのビデオで堪能できるその戦い。文句なしに面白い。

 そのド迫力。その激しさ。

 

 

 

 その大型甲虫の代表選手・コーカサスが、ミドル級レギュレーションのモー虫に参戦。

 悩んだ末に口にした、その「禁断の果実」の味は甘美であった。

 

 強い。極端に強い。

 昆虫戦車・アトラスBを何もさせずにKO。

 全く相手にならないようだった。

 

 果たして、こいつとまともに戦える選手がモー虫にいるのか?と後悔するような強さ。

 しかし、それは不快になるような「強さ」ではない。

 

 爽快な、あまりの凄さに笑ってしまうような、うっとりしてしまうような、甘美な「強さ」であった。

 

 

 

 迎え撃つのは、強豪・ワラストン。

 2回戦で甲虫空母・ホーペイを倒し、今度はコーカサスに挑む。

 

 これほどピッタリな人選はない。

 恐れを知らない殺戮マシーン・ワラストンならコーカサスが相手でも立ち向かってくれるだろう。

 

 

 試合は期待にたがわぬ、激しいものになった。

 

 モー虫では大型選手の内に入るまだら狼だが、パワーでははるかにコーカサスが上。

 ファースト・コンタクトから、コーカサスが有利に試合を進める。

 

 コーカサスのロボコンパンチがうなりを上げ、恐怖の5本のツノが、ワラストンをとらえようと激しく動く。

 そんな恐ろしい光景を目の当たりにしても、ワラストンは表情ひとつ変えず(まあ、表情が変わったら逆に変だけど、虫とて動揺している時の姿は、見て分かるよね。)機械的にコーカサスにむさぼりついていく。

 殺戮マシーン。プログラムはただ一言だけだ。

「コロセ。コロセ。・・・・コロシマス。」プログラムの言葉に忠実に、相手を切り刻まんとひたすら前へ出る。恐怖はない。

 

コーカサス、ワラストン、素晴らしい。

その戦う様のなんと潔く、雄々しく、勇ましいことよ。

ヘタレ根性ゼロ。

 

普通はこうはいかない。

己の器を知る中・軽量級の虫たちは、積極性に欠ける個体も少なくない。

先日行おうとした第31回大会後半戦は、午前8時開始となったせいか、どいつもこいつも全く戦わず、途中で断念。新選手のテストマッチも散々で、去年の秋口にヘラクレスやローゼンちゃん、リツセマ、マックスハートを招聘した時のガッカリ感を超えるヘタレぶり。

頭数が多かっただけに、ガッカリ感は絶大。

 

 

相手が自分より強いのではないかと疑い、逡巡する姿は、「生き残るための正しい判断」ではあっても、美しくはない。

そんなのは日常生活でいくらでも見られる。

 

日常生活とは隔絶した、「おまえぶっ殺す」という本能と本能の正面衝突。

そこに「器を知ってあきらめる」「腹が立つけど我慢」といった、大人の判断は全くなし。

「気に入らないヤツはぶん殴って言うことをきかせる」主義の、ジャイアンとジャイアンの戦い。

オレが見たいのはソレだ!!

 

 

コーカサス、タランドゥス、インターメディア、そしてこのワラストンは特に素晴らしい。

「歯が立たないのでイモを引く」といった、自らを守る本能が、他の種類に比べて極端に薄い。

敵を「倒す」本能が、身を「守る」本能を99%上回っている。

 

ヒラタ、オオクワも戦闘力に関して言えば最高のものを持っているが、彼らは賢くて、「自分の限界」をよく知っているため、歯が立たない相手にあくまでも向かっていく、という個体は多くはない。

コーカサスは、頭が足りないのか、何がなんでも立ち向かって行き、撤退大好きの弱腰個体はまずいない。

 

 

むしゃぶりついてくるまだら狼を、コーカサスが跳ね上げる。

オメガ・ツイスター・クライシスだ。

 

そのまますぽっと五本のツノの中心に嵌り込めば、すべてが終わる。

地獄に咲く毒の花。狂えるイソギンチャクの魔獣。

 

決まった・・・・。さすがのまだら狼も歯が立たず。

 

 

と、思いきや、続きがまだあった。

なんとワラストンは、コーカサスの死の冠から脱出。

 

そのまま背中に張り付いて、上からコーカサスの脚にむしゃぶりついていくというクレイジーかつ想定外の攻撃を開始。

や、ヤメテクレー!!!

「なんでもあり」のツヤの真骨頂、などと喜んではいられない。

 

脚をピンポイントで挟んで切断作業に入るワラストン。

さらに最悪なのことに、そのワラストンの脚が、今度はコーカサスの胸と胴の間の爪切りのようなエッジに挟まれる。

 

あひいいいいい!!や、やめて!!いやああああ!!らめええ!!(エロ漫画風)

 

マジでやめて欲しい凄惨な戦いに発展。

これでは両者のふせつが切れてしまう!!

 

「ふせつ切れ大嫌い」な私は本気で狼狽。

買ったばかりのコーカサスと、主力級の1匹であるワラストンの脚を失うことはなんとしても避けたい。

すでに超危険な状態だったので、カメラを捨て、あわてて割って入る。

引きはがそうとすると、興奮状態の両者は、さらに相手の脚を・・・・・。はあああ!!勘弁して!!

 

自分も痛い目に遭いながら、なんとか引きはがしに成功。

 

いや〜、まずかった・・・。両者の闘志と執念に感服。

戦う虫とは、かくあるべし。と思う。

 

とりあえず、ワラストンを宙に舞わせたオメガ・ツイスタークライシスの一発をポイントとして採用、コーカサスの優勢勝ちにした。

 

おそるべきクレイジーファイターふたり。

 

おまえら、かっこいい・・・・・。

 

 

 

                                     あひいいいい!!脚がああ!!脚がああ!!両方とも切れる!!

さすがまだら狼も悶絶!!しかし、暴君竜もパニック状態。

 

 

 

 

 

 

3回戦第3試合

南の最終兵器・トカラノコギリクワガタ

VS

漆黒の暴風雨・パラワンオオヒラタクワガタ

 

 トカラっちが3回戦進出。

 かっこいい。美しい。

 雄々しき美の化身。

 

 鈞さんのアマミっちBB、アマミっちダガー、教授のアマミっち、ジローさんの70mm本土ノコギリ。オキクワさんのリュウキュウノコ。

大型の国産ノコギリクワガタのなんと美しいことよ。

クワガタさんのレポで奮戦した本土ノコ、これから成熟を迎えるであろう鈞さんのトカラ狂四郎を含め、国産ノコギリクワガタにはやも言われぬ魅力がある。

 

なぜだろう。

 

子供時代に慣れ親しんだクワだからか。

 

当時も、大型の水牛型ワイルド個体は、私たちにとって光り輝く宝物だったのだ。

 

虫王でトカラっちが負けると腹が立つ。ザリガニに組み据えられてるパッケージの写真を見ただけで怒りがこみ上げる。

虫王は大好きなのだが、ノコギリの惨敗する姿は見たくない。

 

現在、採集禁止になってしまったトカラノコギリ。

モー虫のトカラっちも高価だったが、今はもっと高いだろう。

 

しかし、それでもノコギリの大型個体には、いくら金を払ってもいい、とさえ思えるのだ。

 

 

ミヤマ、トカラ、アマミ、といった選手には、いつでも「勝って欲しい」と思ってしまう。

 

トカラっちよ。

お前が死んでからもう何年も経ってしまったような気がする。

お前のワインレッドメタリックに輝くボディ。かっこよかったナァ・・・・・。

 

もう一度、お前のような超大型個体に会いたいな・・・・。

 

 

つれづれとどうでもいいことを書いてしまったが、そのトカラっちの3回戦の相手は、なんとよりによってミドルの帝王・パラワン様。

ほぼ同等の体長。

 

しかし、ノコギリとヒラタでは、体幅、体重が違う。

つまり、全くパワーが違う。

 

 

甲虫バトルでは体長以上に体幅・体重は重要だ。それは体長以上にパワーに直結する要素だからだ。

先日、鈞さんがUPしてくれたMKOCサマーナイトトーナメントの特別試合で、ギネス級アマミノコギリであるアマミっちBBが、グラント・シローに劇的な逆転負け。

スピード・テクニック・闘志ではBBがシローを大きく上回るだろう。

しかし、シローの体重と、必殺技の一撃のパワーの違いが勝負を決めた。

お互いの持ち味と魅力が存分に発揮された珠玉の名勝負であった。

(鈞さんありがとう)

 

パラワンはパワーと体重でトカラっちの上を行く上に、テクニックとスピードでも上回る。

勝ち目は薄い、と言わざるを得ない。

 

試合でも案の定、終始トカラを圧倒。

トカラっちは、必殺のサザンクロスナイフをも簡単に阻止され、ずるずると後退。

 

ギネス級の個体であるトカラっちですら、パラワンやオオクワガタの70UPには勝てる要素が見あたらない。と、この時感じた私。

 

 

しかし、今年、MKOCのアマミっちBBのセアカっち大魔王戦、ジローさんの本土ノコの大型ルデキング戦やオオクワ戦を見て考えが変わった。

 

ノコギリは弱い。特に対外国産クワ・カブとなるとからっきし弱い。

そんな認識が、彼らの奮闘を見て、「ノコギリの実力の限界はもっと先にある」と思うようになった。

トカラっち、アマミっち、政宗号らが果たせなかった夢を、引き継ぐ個体が欲しい。

 

そう強く思う。

 

そしてやってきた新選手・ノコギリクワガタ・ロドリゲス&ドミンゴ&アサノビッチの中型本土ノコトリオ。(アマミ・トカラは全く出会わないんだよね・・・。)

 

テストマッチ敢行。

 

マグロの水揚げのような豪快なダイブを次々と敢行する3匹。

そろいもそろってボンクラ揃い。

 

そのひねりを加えながら産卵木のリングを滑り降りていく姿(フォーム)はある意味美しい。

飛び込み競技ならいい得点が出るだろう。

なんかちょっと涼しげな感じだ。

 

しかし、私が見たいのはソレではない。

 

その日、私は彼らに与えるゼリーをダイソーのものに替えた。

 

 

 

 

 

3回戦第4試合

ロンボックの赤忍者・ギラファノコギリクワガタ中歯

VS

フローレンスの不沈艦・ギラファノコギリクワガタ

 

 ギラファVSギラファ。

 

 一方は中歯。一方は大歯型。

 体長は全く違う。当然ながら、パワーの差は歴然。

 

 やる前から勝負は見えている感じだが、組み合わせ上、いたしかたない。

 まあ、ギラファ中歯を仮想デキピエンスとか、仮想ファブリーズとかにして、脳内妄想全開にして楽しもう。

 

 「ギラファ以外のノコギリは話にならん」これもまた、私の以前の認識だ。

 

 しかし、ひとの認識、先入観というのは勝手なものだ。

 モー虫をやっていくうちに、また、MKOCや顎力計、仲間たちのレポートを見る内に私の「認識」は次々と覆されていった。

 

「オオクワガタは戦わない」「ツヤは弱い」「ミヤマは話にならない」「ギラファはたいしたことない」「ちびアトラスは弱い」「オウゴンオニは最弱クラス」「フタマタはドルクス以外では最強」「ケンタウルスはアフリカ最強の大型カブトなのでそこそこやるはず」「メリーメンガタは気が弱いだろう」「ギデオンは喧嘩好き」「ミヤマ・ノコの挟む力は極めて弱い」「体長が大きくなっても、挟む力は飛躍的に大きくなりはしない」「○○の寿命はXXヶ月」などなど・・・・・・。

 

これからも、どんどん変わっていくだろう。

 

 

最近もみんなのレポートにたくさんの刺激をもらっているが、国内産各種ノコの奮闘、そしてビリーこと、鈞さんのウォレスノコギリクワガタの実力には本当に驚いた。

 

こいつら、マジですげえ・・・。

同体格のドルクスに、他種のクワガタが勝つのは並大抵のことではできな  い。

自分よりはるかにデカいセアカやルデキングに肉薄することは、不可能に思える。

そんな不可能を可能にしてしまう凄いやつら。

 

国内産ノコについてはさっき述べたのでウォレスに話を絞る。

ビリーはアルキデスとまともに挟みあって勝っているのだ。

信じられん!!凄い!!

 

ギラファ以外のノコギリの力、試してみたくなるではないか。

 

鈞さんのビリー。教授のコンフキウス、特大アスタコイデス。万さんのトルキク スを返り討ちにしたアスタコイデス。印象深くかっこいい。

 私も彼らを呼んでみたい。

 

 

 さて、本題のギラファ対決に戻ろう。

 

                                                爆発!!ギャラクティカ・エクスプレス!!

 結論としては凡戦であった。

 

 一方的にギラファっち大が小をギャラクティカ・エクスプレスで粉砕。

 

 その格の違いを感じ取ってしまった赤忍者は、戦意喪失気味で狼狽している所を襲われ、まるでいいところなく敗退。

 

 ギラファっちBブロック決勝進出。

 

 ブロック決勝を争う相手は、ミドルの帝王・パラワン。

 前回の対戦では、インファイトを挑んできたパラワンのえげつないテクニックの前に持ち味を消され、敗退したギラファっち。

 

 はるかに体長で勝りながら、ミドル級パラワンに負けた姿を見て、「やっぱギラファってたいしたことないね」と思った方も多かっただろう。

 ここは負けられない。

 

パラワンとギラファっちの、モー虫屈指のテクニックとスピードを持つ両者の戦い。

 

生き残るのは、どっちだ?

 

 

 

 

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