第39回大会
準決勝第一試合
秩序破壊兵器 オオクワガタ マックスハート
VS
ザンギェールの荒鷲 スチーブンスツヤクワガタ デスコンドル
前回の更新から,果てしないときが流れた。
はっきり言ってもう更新は無理だ。
書きたいこと,見せたい試合はまだまだある。39回大会のあとは,「むしさんすきすき」でウガンデンシス十番勝負、ヨーロッパミヤマ十番勝負をUPしようと思っていたが,もはや物理的に不可能だ。いずれは必ずUPしたいと思うが,この調子だといつになるのか分からなさそうだ。
これを書いているのが4月の22日。(追記:完成は5月3日・・・・ひいい・・・・)
つまり,ここまでの数週間,全くテキストを書けなかったことを表している。
テキストはもちろん,動画の編集もハスタートVSラコ様を編集したのみで,それ以外なにもできていない。
どうやら,お別れのときがきたようだ。
モー虫が完全に終わるわけではない。できる範囲内で,これからも更新していくつもりではあるが,もはや今までのような頻繁な更新はできないと思われる。
HPを作るのは楽しい作業だ。嫌になったわけではない。しかし,家族を養うためには仕事を優先せざるをえない。
今後は細々と・・・という感じになると思うが,いつか教授が言ってくれたように,いつまでも末永く,甲虫バトル好きの集う「場」として続けていきたいと思う。
39回大会の準決勝第一試合は,マックスハートVSデスコンドルの対決となった。
この顔合わせは,35回大会の決勝戦と同じカードだ。
この大会,それまでのスチーブンスのイメージを覆す強さを見せたデスコンドルは,準決勝でもう一匹の台風の目・エラフスヘイエイトを降し,決勝進出。
古豪・マックスハートとの決戦は,攻防がある見ごたえある試合となり,最後は紙一重の差でデスコンドルが勝利した。
再びあいまみえる両雄。
実力は互角。
動画リンク:オオクワガタマックスハート VS スチーブンスデスコンドル http://s14.bannch.com/bs/BBSres/29259/96616105
いきなり正面から咬み合う両者だが、やや姿勢が高かったスチーブンスは、マックスにすくいあげられるように持ち上げられてしまう。
危ない!!マックスの跳ね上げに宙を舞うスチーブンス。 |
扇状に旋回して着地、事なきを得たスチーブンス。
しかも、マックスの側面を狙うには絶好の位置だ。
ここから必殺のサイド・ワインダーをぶち込めば勝利は確定的。
しかし。なぜか急に動きが鈍くなるスチーブンス。サイド攻撃にいくものの、鋭さ皆無の踏み込みでは効果は半減。
出た!!サイド・ワインダー!しかし・・・ |
なぜかツヤクワガタの必殺攻撃に必要な「速さ」を失ったデスコンドルは、得意のサイドポジションを取っているにもかかわらずマックスハートに押され始める。
「うおおおお・・・・馬鹿な!!俺様が押されている!ヤツと俺様のパワーは互角、いや、かつては俺様の方がパワーでは上だった。くっ!このままではマズい・・・」
精彩を欠くデスコンドルをさらに追撃するマックスハート。
コンドルの牙を束ね、引き抜き作業にかかる。
唯一の武器を束ねられてしまっては、さすがのデスコンドルも打つ手がない。
最後はかんぬきスープレックス・デアポート・スロイダーで場外葬。
一度引き剥がされたことで心のパワーが低下した(?)デスコンドルに快勝。
クルーザー級の強力な新選手たちが台頭し,それまでの流れを明らかに変えたこの39回大会。
その潮流に逆らう男がひとり。
オオクワガタマックスハート。
初代ローゼンちゃんや二代目ブケットと同時期に登場。四強と呼ばれたインターメディア・ギラファっち・ホーペイ・コーカサスらとも同じ時代を生きた古豪。
モー虫とはなにか。
それはクワガタ版「リングにかけろ!」であり,「サーキットの狼」なのだ。
条件で劣った者が,有利な条件で戦う者を根性で倒す。それがミドル級レギュレーションが生み出す「夢」なのだ。
初代セレちゃん。かぶえもん。ミヤマっちグレート。初代ローゼンちゃん。初代ダールマン。かぶ八郎。ミヤマっちダークネス。エレファスゾウカブト。
彼らが生み出した夢を私が受け継ごう。小さなオオクワガタにすぎない,この私こそがモー虫の「夢」を背負っているのだ。
クルーザー級のデカいやつら。
お前たちが簡単に勝つことを私は許さない。
かつてコーカサスをも撃破し,「秩序破壊兵器」と呼ばれたマックスハートが決勝のリングに駒を進めた。
準決勝第二試合
マライタの破砕獣 ハスタートノコギリクワガタ
VS
密林の黄色い怪鳥 ラコダール・イエローバード
準決勝第二試合は破砕獣と黄色い怪鳥の激突だ。
どちらが勝ってもおかしくない、強豪同士の一戦だ。
クルーザー級のラコ様に対して、体長ではミドル級ではあるものの、明らかにクルーザー級に匹敵する体格を持っているハスタートは、パワーでも決して引けをとらないに違いない。
こんもりと筋肉で盛り上がったハスタートの背中は、まるで筋肉の要塞だ。
グラントシロカブト、タランドゥス、ブケットに快勝して波に乗るラコダールのマッハの波状攻撃は、この要塞を陥落させることができるだろうか。
向かい合う両雄。
口火を切ったのはラコ様だ。
で、でた〜〜〜!!得意の波状攻撃・トルネイド・アロー!!!!
目にもとまらぬ光速の剣戟が破砕獣を襲う。
ハスタートは何もできない。
アゴのリーチが違いすぎるのだ。
動きも違う。ラコダールの方が遙かに、いや、数倍は速い!!
ラコ様の光速剣戟が、破砕獣を襲う!! |
黄色い怪鳥の鋭い爪が、せむし男の背中にぐさっと突き刺さる。
「もらったぜ!!」
100%の主導権を握った黄色い怪鳥は、勝利を確信したに違いない。
動画リンク:ラコダール・イエローバード VS ハスタート http://s14.bannch.com/bs/BBSres/29259/96616105
その瞬間、ラコ様が消えた。
「リングにかけろ!」の剣崎順の必殺ブロー・ギャラクティカ・ファントム、もしくは「聖闘士聖矢」のフェニックス一輝の技・鳳翼天翔ばりのミラクル・ブローが爆発。
動画でもとらえきれないスピードで、黄色い怪鳥がはるかかなたまで飛んでいく。
唖然。
「ふっ・・・。この分ではサンクチュアリまで飛んでいったかもしれないな。」(byフェニックス一輝)
破砕獣・ハスタート、信じられないミラクル・ブロー、ギャラクティカ・ファントムでラコ様を粉砕。決勝進出!
39回大会
決勝戦
秩序破壊兵器 国産オオクワガタ マックスハート
VS
マライタの破砕獣 ハスタートノコギリクワガタ
モー虫史上最大のトーナメントであった39回大会。
出場選手数であれば、過去にもっと多くの虫たちが参戦したトーナメントがあったが、39回大会は出場選手の多彩さ、種類数でその上を行く。
40回大会以降は、さらに参戦選手が増える。
(しかし、しばらくGPレポートを作ることは無理だろう。)
多彩な種類が参戦した中量級限定のこのトーナメントの決勝戦に残ったのは、オオクワガタマックスハートとハスタートノコギリクワガタだった。
モー虫の歴史を彩る多くの王者たちと牙を交えてきたマックスハート。小型選手でありながら、ギラファっちフォルコメンハイトや初代エレファス、マンディブラリスU、セレベスUらも参戦した無差別級GPを制してしまった秩序破壊兵器。
当時のマックスハートは、ノーマーク、ダークホースも良いところの二線級の選手であった。
運も味方しての結果だったが、当時の私は困惑した。
「こんな結果じゃ嘘くさすぎてUPできねえよな・・・・。トーナメントでは最強を検証することはできない、トーナメントは無意味、ということを証明するような・・・・。」
ある程度ならいいが、この結果はいくらなんでもひどすぎる。
ワンナイトでなくなったトーナメントのネガティブな部分がもろに出た、と受け取った。
しかし、その後のマックスハートは、自分が素晴らしい選手であることを証明していく。
オオクワガタの仲間は多くの場合、成熟が遅い。
後食が始まってもなお、本来の力を発揮するようになるまではかなりの時間がかかる場合が多い。しばらくの間「よ、よえ〜〜〜」と思えても、見切りを付けてはいけない。
あまり戦わせずに気長に待ってみよう。
彼らオオクワガタは、成熟完了後に驚くべきパフォーマンスを見せてくれる可能性があるのだ。
好ライバル・スチーブンス・デスコンドルを撃破。ふたたび頂点へ駆け上がるべく、マックスハートがやってきた。
立ちはだかるのはタラの穴軍団の裏番長・破砕獣ハスタート。
こちらもいよいよ本格化し、ハスタートの真の実力を花開かせつつあった。
今大会のテーマは、ニューウェイブのクルーザー級軍団VSシェンクリング&セレベスDG&アトラスMBであると個人的には思っていた。
しかし、その予想は粉砕されたのだった。
その主役は破砕獣ハスタート。
以前より「ハスタートの真の実力はまだまだこんなものではない」と書き続けてきたが、その新時代の開幕がこの39回大会である。
旧時代の英雄・マックスハートと、新時代を背負ってやってきたハスタートが激突する。
動画リンク:オオクワガタマックスハート VS ハスタート http://s14.bannch.com/bs/BBSres/29259/96616105
この試合、長い長い試合になった。
テクニックでは明らかにマックスハートが上回っている。
ラコダール・イエローバード同様、試合の主導権を握ったマックスは、ハスタートになにもさせないで外側からロックすることに成功する。
しかし。
ハスタートの恐ろしさはここからだ。
恐るべき防御の強さでもって、相手がいかに優位な体勢を作ろうと、耐えてしまう。
この防御の強さはタランドゥス以上。
そして、じわじわと前進していくのだ。腰が重い上に動きが遅いため、相手の勢いや力を利用したカウンター技が、ハスタートには使えない。
外側からロックしたものの、それ以上の攻め手がないマックスハート。
優位な体勢で揺さぶり続ける秩序破壊兵器だが・・・ |
膠着状態に入る。
長い長い時が過ぎていく。
長い試合を好まない私なので、長い長いせめぎ合いの部分は動画ではカットさせてもらった。どうやっても動かないハスタートに、マックスのエネルギーが底をついていく。
長い長い力比べの末、マックスハートのロックが外れ、マックスは後方にはじけ飛ぶ。
ロックがはずれ、はじけ飛ぶマックス。 このあと両者は再び組み合うが・・・・。 |
この時点で勝負はついていた。
長時間パワーを使い続けたマックスハートにはもはや力は残っていない。
再び組み合ったのち、勝負はあっさりついた。
大型ラコダールをはるかかなたに飛ばしてしまう破砕獣の跳ね上げに、さすがのマックスも力尽きるように轟沈。
数千種もいるクワガタの中には個性的な戦闘スタイル・個性を持つ種類がたくさんいる。
そんな中でも、ハスタートの個性は際だっているように感じる。
その強さの源泉は恐るべき身体の強さと、遅さだ。
強い身体で、遅いスピードで押し出していく。
その遅さゆえにカウンターはもらわない。ただ黙々と進み、肉体の力で相手を圧倒していくのみ。
短く、強力なアゴも武器ではあるが、その短さゆえにそれが機能しない場合も多い。しかし、そんな場合でもハスタートは強い。
その主戦武器はアゴではなく、その肉体そのものだからだ。
その肉体の圧倒的な圧力に、相手の攻撃は通じず、時間とともに相手の防御網はほころんでいく。
カブトムシのツノや細いクワガタのアゴを折ってしまうペンチのようなアゴは、相手を挟んで持ち上げるのには適していない。
このアゴの本領は、ヘラやコテのように相手をめくり上げる時に発揮される。
心の力も極めて強い。
体長制での戦いなら、最強クラスの力があるのではないか。この当時、私はそう思っていた。
しかし、破砕獣ハスタートにも弱点がある。
身体のパワーが同等以上の相手には通用しないことだ。
短いアゴは相手を挟んで持ち上げるのに適さないので、決め手となる攻撃、トドメとなる攻撃を出すことができない。
パワーで優る相手は、もちろんハスタートよりリーチがあるアゴを持っている。その場合、相手にアゴ先すら届かないので跳ね上げることができない。
投げられず、折れず、届かず、押し込めず、となってしまうと、打つ手がない。最終的にはじり貧になり、敗北してしまうことになる。
かくして、同等以上の体格とパワーを持つドルクスあたりには通用しない、ということになってしまう。
ゆえに、甲虫相撲大会や虫王ではパッとしないのだ。
しかし、中量級レギュレーションのモー虫となれば話は別だ。
同程度の体格の虫で、ハスタートを超えるパワーを持つ虫はおそらくはいない。
モー虫の条件下では、成熟完了したハスタートは無敵の存在なのだ。
39回大会王者・破砕獣ハスタート。
絶対無敵の条件を備えた怪物をストップすることができるヤツはいるのだろうか。